大阪近鉄バファローズ、東北楽天ゴールデンイーグルスのエースとして活躍し、数々のタイトルを獲得。2012年に海外FA権を行使して、メジャーリーグのシアトル・マリナーズに移籍。2013年には14勝、2014年には15勝を挙げ、メジャーでも安定したピッチングを続けている岩隈久志投手。今シーズンは、ロサンゼルス・ドジャースに移籍した前田健太投手との日本人対決も実現した。
昨シーズンは、日本人選手としては野茂英雄氏以来2人目のノーヒットノーランを達成。35歳となった今も、活躍し続ける岩隈投手の秘訣とは何なのだろうか。
『あせらない。』(岩隈久志著、ワニブックス刊)は、ノーヒットノーランを達成できた理由や野球人生の失敗の数々から得た教訓を自身が語った一冊。また、マリナーズとの再契約に懸ける想い、昨年のプレミアム12準決勝を観て感じたことや、今シーズンへの意気込みもつづっている。
■「平常心」が生み出す驚異のコントロール
岩隈投手のプロ野球選手としての実力は、ピッチングや成績を見れば誰もが納得するところだ。では、メンタル面も成績に大きく影響するプロ野球の世界で、いかにしてその実力を発揮してきたのか。
岩隈投手が、自分らしさを出すためのモットーは「あせらない」ことだ。マウンド上では、常に「平常心」を心掛けているという。ボールのコントロールは、気持ちのコントロールから。気持ちのコントロールができれば、ボールのコントロールもできるという考えだ。それは2014年シーズンの179回を投げて21四球、与四球率1.06という数字にもしっかりと表れている。とはいえ「岩隈はフォアボールが少ない」という高評価を得ると、それが大きなプレッシャーにもなる。
では、周りの期待から来るプレッシャーをどう乗り越えるか。その答えのヒントとなるのは、やはり「平常心」。プレッシャーのかかるときこそ、自分を見失わないことが重要なのだという。
■「ミス」はお互いさま。その意識が引きずらないメンタルを生む
野球は「ミス」によって成り立っているスポーツといわれる。3割打てば好打者と呼ばれ、10回に7回は打ち損じをしていることになる。「ミスは必ず起こるもの」とドンと構えていれば、気持ちはぐっと楽になる。もちろん岩隈投手も人間なのだから、味方のエラーでイライラすることもある。しかし、その気持ちを引きずらずに、すぐに切り替えるという。
ミスはお互いさまで、マイナスの感情はすぐに捨て去り、すぐに気持ちを切り替える。大事なのはミスのあとであること。味方選手のエラーのあとでも、「このピンチを僕がカバーしなければいけない」とバッターに集中することで、気持ちも落ち着き、自分のやるべきことが見えてくるのだ。
岩隈投手のモットーである平常心は、もちろん野球だけでなく、サラリーマンにも通じるところは多いだろう。仕事でプレッシャーを感じることもあれば、ミスをすることもある。そんなとき、あせらず、平常心でいることが、自分の気持ちもコントロールできて、良い結果へと繋げていけるのだろう。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。