忙しいほど人生は充実していると思っていませんか? そんな人こそ、実は危ないのです。
常に何かやって忙しくしていることは、脳にとって非常に不健康な状態であり、むしろ何もせずにぼんやりしている時間が大切です。
■「ぼんやり」が頭を健康にしている
『ぼんやり脳!』(西多昌規著、飛鳥新社刊)によれば、ボーッとしているときには、意識的課題を行っているときの15倍ものエネルギーが脳内において使われていることが明らかにされているといいます。
この、「ぼんやりしているときの脳活動システム」は、「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれていて、脳をすこやかにキープするためにはこのシステムの機能を落とさないようにしていくことが重要となります。
この機能があまりに低下すると、うつ病や認知症などの心の病気になりやすくなることもわかっています。
■マルチタスクをするなら「ぼんやり」が大事
集中時とぼんやり時では、脳における興味や注意の向け方が大きく違います。
目の前の興味対象に過度に前のめりになっていると、身近なことへの注意力が低下しておろそかになってしまいがち。このとき、脳は思考力や分析力を働かせる前頭葉を中心に動いているのですが、前頭葉の機能を引き出すために、なるべくその部分だけを使って他の部分ははたらかせないようにしています。
そのため、この脳の使い方はひとつの作業にハマり込んで行うような専門性の高い仕事に向いています。
一方、ぼんやり時の脳は、「デフォルト・モード・ネットワーク」をはじめ、脳の広い範囲を使います。記憶、分析、情動、会話、思考、分析、統合といった脳のさまざまな役割をしている部分をまんべんなく働かせて立て直しながら、どんなことにも対応できるような態勢を整えているのです。
こうした脳の使い方は、幅広い分野や多くの人に目を配りながらあれこれとフォローをしていくような統合力を求められる仕事に向いています。
どちらが優れているというわけではなく、集中時とぼんやり時のふたつをバランスよく、メリハリをつけて使っていくのがベストなのです。
■空回りをしていると感じた時は「ぼんやり」としよう
仕事などを頑張っているのに空回りして結果が出ないという人は、ぼんやり時の脳の使い方をする機会を増やすといいと西田さんはいいます。
いつも集中して一方向に突っ走ってばかりいると視野が狭くなり、近くにある大切なものや周りにいる大切な人、全体の中の自分のポジションなどが見えなくなってしまいます。
ぼんやりと自分の状況を見渡すようにしていれば、自分にとって大切なものを見落とすことなく、自分の仕事や人生にプラスに生かしていくことができるのです。
体の疲れに比べて、脳の疲れは気づきにくいもの。気づかないうちに脳が限界を超えてしまうこともあります。そんなことにならないためにも、ボーっとする時間を作ってみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。