リクルートブライダル総研が、20代から40代の男女5万人のうち、過去3年間に結婚した人を対象に調査を行った「婚活実態調査2016」によると、3年連続で結婚相談所を利用した人が増加中だという。
利用したことがない人にとっては、なかなかその実態をつかみづらい結婚相談所。一体どんなビジネスモデルなのだろうか?『ダメ男の僕がやっと見つけた稼げるビジネス』(恒川正孝著、カナリアコミュニケーションズ刊)では、その内幕が紹介されている。
■サービスの形態
まず、ひと口に結婚相談所といっても、運営主は大企業や中小企業、地方自治体など様々であり、個人事業主でもできてしまうという。提供されるサービスの内容も、登録会員のデータベースを活用したマッチングサービス、婚活パーティ、街コンとバラエティに富む。
その一方で、どのサービスも提供する価値は同じ。どれも、一昔前であればおせっかいなおばさんが、「いい子がいるんだけど会ってみない?」と言って、独身男女の間を取り持っていたことを、そのままビジネス化したにすぎないからだ。
■始めるときに必要なもの
結婚相談業は、特殊な専門知識や技能を必要としない、「誰にでもできる」商売だともいえる。恒川さんによれば、このビジネスを始めるにあたって必要なのは、車、電話、地図、独身者の情報の4つだけだそうだ。
ただし、4つ目の「独身者の情報」は個人情報にかかわること。収集も取り扱いもむずかしいのではと思う人もいるかもしれない。が、まずは気心の知れた周囲の友人や知人などに「仲人業をはじめたので、知り合いに独身の人がいたら紹介して」とお願いすることからはじめるのが、このビジネスの王道だという。
■実際の成婚率は何%?
利用する側にとって気になるのが、実際に結婚相談所に登録したとして、ゴールインできる人の割合、つまり成婚率がどれくらいなのかという点だろう。
本書で紹介されている経済産業省の調査結果によると、結婚相談所の成婚率は10%程度。しかし、中には退会した会員が他社で成婚したケースを自社の実績にしたり、会員数の母数をしぼったりと、悪質な「操作」によって成婚率を20~30%だと謳うところもあるので、注意が必要だという。
■ビジネスモデルと儲けのタネは?
なぜ成婚率がこれほど低くても多くの結婚相談所の経営が成り立つかといえば、収益の柱は成婚時の成果報酬ではなく入会金だからだ。なお、このビジネスでの入会金の相場は数十万円(恒川さんが経営している結婚相談所は60万円)だそうだ。
また、本書を読んでいてさらに興味深いのが、決して安くはない入会金を誰が払うのかについて。本人に結婚する気がなくても、両親や祖父母、さらには勤務先の社長などが払うケースも少なくないという。
ちなみに著者の恒川さんが結婚相談業の法人を設立したのは9年前のこと。大手のように広告を出す余裕はなかったため、独身者のいる家庭にアポなし訪問というスタイルで徐々に顧客を増やしていったという。
決して一筋縄ではいかないビジネスを恒川さんがどのように成長させていったのかという奮闘記としても楽しめる本書。結婚相談業の実態を知るだけにとどまらない、魅力の詰まった一冊だ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。