あなたは、普段使っている「イス」にどれだけ思い入れがあるだろうか。
「幸福大国」と呼ばれるデンマークの人々にとって、イスはただの道具ではない。時間とお金をかけるべき「大切な場所」だという。
『なぜデンマーク人は初任給でイスを買うのか?』(小澤良介著、きずな出版刊)によれば、デンマークでは、家具は大切な資産であるという考え方が強いそうだ。そのため、自分の親や祖父母の世代から代々受け継がれていくものであるという考え方が常識なのだとか。
だから、イスは長く使うことを前提につくられる。
日本でイスを買うとなると、メーカー保証も5年程度のものが多く、数年での買い替えが常識となっている。しかし、デンマークでは、お金と労力をかけて家具を選び、選んだものは自分の子や孫の世代まで何十年と残せるように大切にするのである。
■古いものや傷を「味」として生かそうとする
私たちは、使っているものが古くなってしまったり、傷ついてしまうと、つい新しいものを買ってこようと思ってしまいがちだ。
だが、ヨーロッパは「古きよきものを大切に残していく」という文化がある。もちろん、デンマークにも、「古い建物こそ価値がある」「古さこそが美」という観点があるという。歴史あるものを美しく使い続けることが美徳であり、ステータスであるという考え方が根付いているのだ。
例をあげよう。古くなったものや汚れなどは、デンマークでは「味」としてとらえて残そうとする。もし、大切にしているものに傷がついたら、デンマークの人々は「この傷をどう残そうか」と考えるだろう。
古きよきものを継承するために、大切にする。そんな考え方が、デンマークの「豊かさ」「幸福度」に影響していると著者は語るのだ。
『なぜデンマーク人は初任給でイスを買うのか?』は、人生に好影響を及ぼすインテリアの考え方について書かれた一冊。
自分の部屋にある家具をお気に入りの家具にすることで、その空間を快適に、居心地のいいものにする。そういった大切にしている家具のある空間で過ごすことによって、デンマーク人のように、心の豊かさや幸福感も満たされていくのかもしれない。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。