戸田: 飲み会の質によりますね。本当にざっくばらんに話せる場であればいいけれど、説教は押しつけのコミュニケーションになってしまうのでNGです。逆効果ですね。
最近ではワークライフバランスを大切にして飲み会を断る若い世代も増えているので、そもそも飲み会ができないということもあるかもしれません。そういうときは、ランチ会を効果的に使っている企業もあるので取り入れてみてもいいでしょう。
――本書の冒頭にあるアンガーマネジメントの説明の部分で、「怒る」「怒らない」の境界線を明確にするとありました。これは「なるほど」と思ったのですが、その境界線の基準はどこにおけばいいのでしょうか。
戸田: これは怒った後に自分が後悔するか、後悔しないかで決めるべきです。注意をしようと思ったけど「まあしょうがない」と思って言わなかったら、そのミスが膨れ上がって取り返しのつかないことになっていたことってないですか?
言っておいた方がいいと思ったことは言った方がいいことです。逆に大したことがないと思うならば、言わないでいたほうがいいでしょう。
これはビジネスシーンだけでなく、男女間でも強く言えることです。例えば服を脱ぎっぱなしにする夫に対して怒るかどうか。もし、脱ぎっぱなしにしているのが本当に嫌であれば、素直に言った方がいいでしょう。言わないままでストレスを溜めると、それが大きな不満に結び付いていくわけですから。
――ただ、何度言ってもなかなか直らない人もいます。注意をして「分かりました!」「今後意識します」と言ってその後しばらくは直っているけれど、慣れてくるとまた同じミスをする。そんな人にはどう声をかけたらよいのですか?
戸田: 何故そのミスをしてはいけないのか、ということがしっかり伝わっていない可能性があります。このミスを続けることによって、どんなデメリットがあるのか、どんな人にどんな迷惑がかかるのかが分からないから同じことを繰り返してしまうんですね。
人間は何か言われても、腹落ちしないと自発的に行動を起こさないものです。習慣化するには納得することが必要で、この一つのミスをすることで、どこに迷惑をかけ、どれだけその人の信頼を下げるのかを説明しなければそこまでには至りません。
アンガーマネジメントでは、一度お願いしたら見逃さず、ぶらさずに習慣付くまで言い続ける必要があります。もし相手がまたミスをしても同じことを言い続ける。それを繰り返していくことが大事ですね。
習慣化するには時間がかかります。何でもすぐにできるようになるのは難しいですから、多少ゆとりを持って言い続けましょう。「お前何回もミスするよな」「直す気ないの?」というワードはタブー。余計なひと言がそれまでを台無しにしてしまうことがあるので。
――最後に『苦手意識がなくなる会話術』をどのようにして読んでほしいですか?
戸田: まず目次を見ていただき、自分が課題としている部分から読んでいただければと思います。コミュニケーションは、本を読んだだけでなく行動に移さないと意味がありません。少しずつ自分に自信を持って取り組むことで、苦手な相手や場面も大きく変わると思います。
相手との関係は、一歩踏み出すことで変えられます。それを信じながら取り組んでほしいですね。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。