数年前、カフェで仕事をする「ノマドワーカー」という言葉が流行ったが、それが今は“次のフェーズ”に移行しているという。
それが、「モバイルボヘミアン」というライフスタイルだ。
『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』(本田直之、四角大輔著、ライツ社刊)は、実は深い交流があるという、『レバレッジ』シリーズの本田直之氏と『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』の四角大輔氏の2人が、20代の頃から20年以上の歳月をかけ、実験し続けてきた「生き方」と「考え方」、実践のための具体的なノウハウを紹介している。
本田氏と四角氏は、「ノマドの先駆者」とも呼ばれているが、もともと「ノマド」の意味は「自由に旅し、国境を超え、自由に生き、自由に仕事をする」というライフスタイルを草原の遊牧民になぞらえたものだった。
それが、オフィスに行かずに働くという「小さな仕事のテクニック」のような意味でとらえられるになった。そこで、2人がとった次のライフスタイルが「モバイルボヘミアン」である。
では、「モバイルボヘミアン」とは一体何なのか。
本田氏は「ハワイのビーチで暮らしたい」、四角氏は「ニュージーランドの釣り場で暮らしたい」という夢があった。それぞれ住みたい場所は決まっているのに、現地にはやりたい仕事はない。「身軽に、自由に生きたい」という強い想いから、その理想と仕事という現実をどう両立させればいいのかを考えた。
そして、行き着いた答えが、「高度なモバイル・リテラシーを身につけ、自分を異動させる力(モビリティ)を最大限まで引き上げること」だった。
モバイル・リテラシーとは、「モバイルテクノロジーを武器にする力」ことだ。彼らはモバイルテクノロジーを使いこなすことが不可欠と早い段階で気づき、独自のモバイルスタイルを築いていく。そして、トライ・アンド・エラーを何年も続けているうちに、旅するように暮らして、旅するように動くことができるようになったのだという。
実際に本田氏はハワイにも居を構え、ハワイに関する著作も多数記している。また四角氏は、ニュージーランドで自給自足ベースの生活を営みながら、世界中を旅している。
2人は自分を移動させる力、つまりモビリティを高めたことで、「自分の人生」を取り戻し、より自分らしい生き方ができるようになった。そこで初めて「ボヘミアン」という言葉本来が持っている、解放的で、よりハイレベルな自由を手に入れることができたのだという。
それは、ノマドライフ時代よりもさらに高い次元の圧倒的な自由だった。
「モバイルボヘミアン」という生き方は、「自分らしくいられる時間をできるかぎり長く持つための方法」であり、「仕事、表現、生活のクオリティを極限まで引き上げるための考え方」といえるのだ。
生活スタイルや働き方はそれぞれの価値観で違うものだが、「場所」「時間」「1つの会社に依存した収入源」といった生き方を縛るあらゆる制約から解放された彼らのライフスタイルに一度は憧れるものではないだろうか。 理想を現実のものにするのは難しいことだが、本書にはそのヒントがあるのかもしれない。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。