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「資産運用ビジネス」はもはや限界を迎えていることが分かる。本部からは達成すべき数字だけをあてがわれ、現場は工夫して収益をあげるも、売っている商品が本当に顧客のためなのかは分からない。本書の第2章「ニッポンのヒサンな資産運用」で明かされている、著者の元に届いた、ある地銀の支店長からのメールは一読の価値があるだろう。
これが現実なのだと考えれば、森長官が「安定的な資産形成」を最重要テーマに置き、改革に乗り出したのも頷ける。
では、その改革はどのようになされるか。本書の最重要キーワードの一つが「フィデューシャリー・デューティー」である。英語にすると、Fiduciary Dutyとなる。日本語に訳すると「受託者責任」。しかし、金融庁は「真に顧客本位の業務運営」と定義する。
この「フィデューシャリー・デューティー」の説明は本書の核の一つとなる部分なので、ぜひとも読んで知ってほしい。金融マンはもちろんのこと、資産運用を考えている人、そして資産運用を始めようとしている人にとっても頭に入れておくべき情報である。
資産運用は一部の人たちだけの言葉ではなく、もはや誰もが考えなければいけないものになっている。老後の生活等を考えた上で若いうちから運用をはじめる人もいるだろう。では、まともな資産運用ができているだろうか? もしかしたら「資産運用に非ず」――「非産運用」になってはいないだろうか? 考えさせられる一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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