六代目山口組分裂以降、一躍、時の人となった任俠団体山口組の織田絆誠代表。4月末に大改革の御旗を掲げ、神戸山口組を割って出た織田代表に、ヤクザ取材の第一人者である、ノンフィクション作家の溝口敦氏が単独インタビューを遂行。5月8日発売の「週刊現代」(講談社)に4ページにわたって掲載された。未読の方は同誌面で全文を読んでほしいが、主だった発言は以下のようなものだった。
「一言で申し上げると、こういう形を取らざるを得なかったことが残念至極である。(中略)名古屋方式とはざっくり言って多額の上納金、出身団体(弘道会)への贔屓、人の進言、諫言をきかない、の3つです。それを否定すべく(筆者註:神戸山口組は)立ち上がったわけですが、神戸山口組の組織運営、中でも山健組の組織運営が名古屋方式そのものだった」
「二つの大きな船(筆者註:六代目山口組と神戸山口組)は、これからじわりじわりと沈んでいきます。どうすればいいのか。(中略)救命ボート的な船を置く事によって、二つの船から移り乗ってもらう」
「理想論になりますけど、一人も傷つかず命を落とさず一つの山口組になることがベストです(中略)理想とする所は、この大型救命ボートに中堅、若手の皆さんがどんどん乗り込み、第三極が一番大きくなって、自然と他の二つが少なくなることで、最終的には統一したい。志を達成できたら、組長の座を固辞したまま身を引いてカタギになることが、私利私欲で始めたことではないという証明になると考えてます。(中略)おこがましいかもしれませんが、『任俠団体山口組』と冠につけたのは、要するに最終目標が『脱反社』だからです。ここに持っていきたい」
「ヤクザなんですからヤクザらしく。その中で国家社会への貢献という三代目(筆者註:田岡一雄三代目山口組組長)の思いを腹に入れて、そこにちょっとした罪悪感もありながら、こんな自由に遊んで暮らしてる、楽してんだからと貢献する気持ちが生まれる。(中略)統一を前提とする『第三』であるところ、まあ世間をお騒がせしてますけど、実は我々の大義はここにあるんだ、一日も早く一つにしたいんだ、と訴えたいですね」
「まるでアイドルではないか」
こうした渦中の人物の生の声は大きな注目を浴びているが、同時にヤクザ業界関係者の間では物議を醸している。その反応を探るべく、著者は可能な限り、“現役”の人間に話を聞いた。織田代表の語る言葉を彼らはどのように受け止めているのだろうか。