高島彩や中野美奈子、平井理央、加藤綾子など人気女子アナウンサーを毎年のように輩出してきたフジテレビ。だが、昨年発表されたオリコンの『好きな女性アナウンサーランキング』では所属のアナウンサーが1人もランクインを果たせず、13回を数える同調査で初の事態を招いてしまった。テレビ局関係者が話す。
「人気女子アナとテレビ局の好不調は、ある程度比例します。フジテレビが好調だった80年代前半は益田由美や寺田理恵子などが、後半には八木亜希子、河野景子、有賀さつきの3人娘が人気を博し、万全の体制を誇った。90年代に入ると日本テレビが女子アナユニット『DORA』を結成。さらに永井美奈子などが知名度を上げていき、00年代に入ってフジが視聴率三冠王を取り戻した頃は、内田恭子や高島彩などが看板女子アナとして活躍していました」
近年の視聴率不振により、チャンネルを合わせられなくなったフジテレビは必然的に人気女子アナが生まれなくなってしまったというのか。
「ニワトリが先か卵が先かみたいな話ですが、現在、本当に見たくなるような女子アナがいないのも事実でしょう。人気アイドルの顔が年代ごとに変わっていくように、世間に求められる女子アナも変化していく。だというのに、フジが入社させるタイプは30年前と変わっていない。社長は代わっても、上層部自体がずっと変わっていない証明とも言えます」(同)
2017年入社の久慈暁子アナはフジの好みそうな典型的なアイドル顔で、高島彩を超えるスピードで『めざましテレビ』に出演。通常、フジの新人アナは7月下旬の『27時間テレビ』の提供読みでデビューするが、久慈アナは7月3日から『クジパン』のMCも務めるなど異例の抜擢が続いている。
「加藤綾子以来、フジにはエースと呼べるアナウンサーが出てきていない。期待された永島優美もカトパンのような人気者にはなれていない。それだけに、フジとしては久慈アナに往年のフジ女子アナを思い起こさせるアイドルアナになってほしいのでしょう」(同)
高島彩や加藤綾子を思い出せばわかるように、ある程度のアナウンス技術があってこそ、人気者になれる。その点、久慈アナには心配がつきまとう。
「中堅である春日由実がアナウンス室から広報局に異動し、中村仁美は異動を嫌って退社になる運び。以前のフジのアナウンス室は雰囲気も良く、憧れの職場だった。だが、中村仁美の異動をきっかけとした退社は、コミュニケーションが足りていないことを露呈してしまった。
また、30代半ばが抜けると、新人にとって頼れる先輩が職場からいなくなる。30代前半までの独身女子アナにとって自分より年下のアナウンサーは全員がライバルで、表面的には仲良くしていても、手のうちは明かさない。ところが30代半ばを過ぎると会社のことを思い、育てる側に回れる。ただ、40代以上になると、年齢差があり過ぎるから、相談相手にもなりづらい。
だから、30代半ばは重要なんですよ。ほかにも30代半ばの女子アナはいるが、産休も多いし、これから妊娠して休みに入る可能性も充分ありますからね」(同)
40代の実力派がここ数年で、何人も異動していることも、影響は大きいようだ。
「『なるほど!ザ・ワールド』などに出演し、“ひょうきん由美”として人気のあった益田由美がアナウンサーのまま定年を迎えたり、阿部知代が50代になってもアナウンサーとして画面に出たり、以前は会社が一時代を築いた女子アナを大事にしていたんです。それがここ数年だけで、阿部をはじめ、吉崎典子、木幡美子、田代尚子といった実力派の功労者を異動させた。これでは、アナウンサーの育成力が落ちて当然でしょう」(同)
人気アナウンサーは本人の実力だけではなく、育成や人事を含めた会社全体の力が結実した時に生まれるもの。ここ数年のフジ上層部の判断が、人気女子アナ誕生を阻んでいるのかもしれない。
(文=編集部)