新型コロナウイルスの流行、緊急事態宣言で外出もままならなくなり、生活が一変した昨年は、「出社」が大前提だった働き方を変えてテレワークを導入した企業が多かった。突然普及したこの働き方が「あたりまえの日常」として定着したように感じられる人は多いはずだ。
テレワークのおもしろいところは、(やや悪趣味かもしれないが)リモート会議中に子どもやペットが映り込んできたり、宅配便が届いたりと、画面を通じて会社ではわからなかった同僚や取引先の微笑ましい一面を垣間見ることができる点だ。
そんなテレワークならではのちょっと笑ってしまうような失敗をはじめとしたエピソードを集めたのがデイリーポータルZ編集長の林雄司さんによる『テレワークの達人がやっているゆかいな働き方』(青春出版社刊)である。
■2021年も続く?「リモート会議あるある」
本書では、コロナ禍におけるテレワークで体験したエピソードを明かしつつ、より楽しく働くための知恵と工夫を、デイリーポータルZ編集長の林雄司氏が紹介する。
特にテレワークのハイライトとなったのが「リモート会議」である。人によってはリモート会議でやりづらさを感じたり、新たな発見をしたこともあるかもしれない。ここではそんなビデオ会議での「あるある」や工夫の仕方を本書の中からいくつか挙げていきたい。
・顔と名前が一致する世界がやってきて会社員生活のストレスが一つ消える
ビデオ会議の利点は、顔の下に名前が出ること。会議で一緒になるけれど、名前を知らない人がいなくなった。井口さんか江口さんかわからなくて「ぃぇぐちさん」と曖昧に呼びかける必要がなくなった。
ただ、新たな問題として、読み方がわからない人も現れた。ニックネームや車内チャットのアカウント名だったりすることもある。
・打ち合わせの「空気」が作りにくい
ビデオ会議では、会議前の雑談がないので、始めてから場が盛り上がるまでに時間がかかる。ただ、リアルな会議でもそんなに和んでいなかったことを思い出すと、気が楽になる。また、不機嫌そうな人がいることもある。その場合は、ウインドウ上に別のウインドウを重ねて、不機嫌そうな人を見えなくするのもストレスフリーでいられる策の一つ。
■リモート飲み会はすたれていくのか?
テレワークで話題にもなったのがリモート飲み会。最初のうちは物珍しく、外出も出来ないので人恋しい気持ちもあり、盛り上がっていた。ただ、何度か繰り返していくうちに、そのブームも終焉に向かっているかもしれない。
けれど、まだまだリモート飲み会の楽しみ方はある。たとえば、Googleマップのストリートビューを画面共有すると盛り上がる。参加者の一人にブラウザを共有してもらい、ストリートビューで実家の近所を案内してもらうのだ。同僚の地元の話を聞き、子ども時代を想像すると、距離も縮まる。人の実家に行ったような不思議な錯覚を覚え、楽しめるのだ。
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テレワークに限らず、大きな変化に直面した時、私たちは常に失敗したり戸惑いを感じながらも、だんだんと慣れて、新たな日常として習慣化していく。テレワーク黎明期のエピソードを集めた本書には、「わかるわかる」と共感することや、2021年の働き方の参考になることもあるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。