「話が浅い人」っていますよね。
単なる雑談であればそれでもいいですが、ビジネスは別。自身満々にうすっぺらい訓示を垂れる経営者も、どこかで聞いたようなアドバイスを得意満面で披露する先輩も「話が浅い人」の可能性大です。
もちろん、これは他人事ではありません。もしかしたら、会議でのあなたの発言やプレゼンも、聞き手から「うわ、あっさいな…」思われているかも。これでは評価されませんし、仕事の成果も微妙なはず。
でも、そもそも「浅い話」とはどんな話なのでしょうか? どんな時、私たちは相手の話を「浅いなあ」と感じるのでしょうか。
■その言葉の意味、本当にわかってますか?
『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?』(安達裕哉著、日本実業出版社刊)によると、話の「浅さ」は、話題とは関係ありません。マンガの話だから浅いわけでも、哲学の話だから深いわけでもありません。あくまで話し手の話し方の問題です。
たとえば、言葉の意味をきちんと把握せずに話してしまうと、「話が浅い人」という印象になりがちです。というのも、言葉というのは、ちゃんと知っている人からすれば、よく知らないまま使っている人は一目瞭然。
特に、最近ビジネスシーンでよく使われる外国語由来のワードは、何となくわかった気になって使いがちなので、「……この人、“イシュー”の意味わかってんのかな?」なんて周りから思われないように、しっかり意味を把握した言葉で話しましょう。
■「背景」や「成り立ち」を知らずに話す人
また、物事の「背景」や「成り立ち」を知らずに、今の状態だけしか見ない人の話も浅くなります。
これは、議論をする時に顕著で、「Aという規則が今はもう不要なのではないか」という議論をする際、「今は不要だと思われる理由」だけでなく、「Aができた当時の事情や、Aの成り立ち」も知っていないと、議論が深まらないばかりか、ともすると重大なことを見落としたままAを廃止してしまうことになりかねません。
なんであれ、「バックグラウンド」を語れる人の方が、説得力あるのはわかりきったこと。物事の成り立ちには常に注意を向けるべきなのかもしれませんね。
■「根拠? テレビで言ってたんですよ」
マーケティングの会議で「なぜ主婦をターゲットにしたのか」と聞かれた同僚が、「テレビで、主婦のお客さんが多いと言っていた」と答えたら、周囲は「おいおい、こいつ大丈夫か……?」となるはず。
これはテレビの情報をあてにしていたからでありません。単一の情報源しかあたらず、しかもそれを鵜呑みにしていたからです。
こういう人の話は、情報を検証するクセのついた同僚からすると「根拠が薄弱」と映ります。これも一種の「話が浅い人」なのです。
■権威をカサにする人
自分の話に「権威」の威光を着せようとする人も、まちがいなく「浅い人」。経営者や起業家など、ビジネスの成功者のいうことを無条件に正しいと思ってしまう人はこのタイプです。
「〇〇さん(成功者)がやっているから、まちがいないはず」「あの人がこんなことを言っていた」が口癖の人は気をつけた方がいいかもしれません。
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一度「話が浅い人」と思われると、そのレッテルがはがれるまで、周囲はあなたの話を真剣には聞くことも、困った時にアドバイスを求めることもないでしょう。
これでは、仕事に支障が出てしまいます。「仕事に必要なコミュニケーション力」というのは、自分の意見を正確に伝える力や、相手の話を齟齬なく理解する力だけではなく、自分について、「すくなくとも意見を聞くに値する人物」と相手に思わせる力も含まれるのです。
本書では、「仕事に必要なコミュニケーション力」について、さらに多様な能力を挙げて詳述しています。
話すことと聞くことだけではビジネスは不十分。本書を読んで、察したり、先回りしたりといった言外の高度なコミュニケーションも含めて身につけてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。