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その絆をもっとも強く感じさせるのは、ナイキのパートナーでもあった日本の大手総合商社「日商岩井」とのエピソードだ。
あるとき、ナイキは日商岩井への100万ドルの支払いを前にして、銀行から手を切られ、口座の資金凍結という事態に陥る。ナイキは日商岩井から財務状況についての監査を受けることになるが、当時、ナイキを担当していたトム・スメラギは、支払いに苦しむナイキを助けるためインボイス(請求書)の発行を意図的に遅らせていたことを告白する。
そんな行動に及んだ彼と、同じく監査に訪れていた上司との会話は胸を熱くさせる。
「ナイキは私にとって我が子のようなものです。我が子の成長を見るのはいつだって嬉しいものです」
「それでは君がインボイスを隠したのは……つまり……彼らのことが好きだからというわけか」
非常にバツが悪そうにスメラギは頭を下げた。「はい」と言った。「はい」と。 (384ページより)
どんな人と縁を持てるかは、運に左右されるところが大きいだろう。しかし、「縁」を「絆」にまで昇華させることができるかどうかは、自分や組織の在り方によるところが大きい。
ナイキは、自分たち以外の「誰か」によって救われることが幾度となくあった。だが、それを「運が良かっただけ」だと考えるのは間違いだ。
ナイキ、そして、フィル・ナイトには人を惹きつけ、一緒に走りたいと思わせるものがある。
本書は、500ページを超えるボリュームだが、まるで映画を見ているように読み進めることができる。そこには説教じみた教えはない。しかし、汲み取れる教訓は多いはずだ。経営者から新卒の社会人まで、必読の一冊だと言えるだろう。
(ライター:大村 佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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