■ほめ方がわからないリーダーは「ほめるテーマ」を決める
ケンタッキーでは、レコグニション(認める、賞賛する)と呼ばれる「ほめて育てる」人材育成方針がある。たとえば、従業員に「賞賛カード」を渡し、周りの人の言動で賞賛すべきものがあったら記入して提出するという取り組みは、ほめあう文化の好例だ。
しかし、厳しさが前面に出てしまうタイプのリーダーは、部下の何をほめたらいいのかわからないことが多く、ほめることが大の苦手だ。そこで覚えておきたいのが、ケンタッキー流の「テーマを決めてほめる」というアプローチだ。
たとえば、「今週はスピード&サービスを重点的にほめる」というテーマを決めたとする。
KFCであれば、「より早くパーティバーレルのセットを完成させた人」がいたらわかりやすくほめることになる。これがもし、事務系の仕事なら「短時間で見やすい書類を作ってきた人をほめる」といった感じになるだろう。このように「ほめどころ」を明確にするのだ。
週替わりでテーマを「作業の正確さ」「丁寧な言葉遣い」などに変えていけば、チームの総合力は上がっていくはずだ。
また、ほめる時に大切なのは、具体的な行動をほめることに注意したい。
「さっきの接客は良かったよ」とほめるよりも、「今、手のふさがったお客様のためにドアを開けてあげたね。いい接客だったよ」とほめれば、部下も何が良かったのかが理解できて成長できるだろう。
■叱るときのポイントは「行動」と「改善」
部下をほめることはできても叱れないのが「やさしすぎるタイプ」のリーダーだ。
叱るのが苦手なリーダーは「ミスやマイナスの行動を意識して改める機会を与えることは上司にしかできない」ということを覚えておくべきだ。その上で、しかるべき時に、効果的な叱り方をしていくといいだろう。
ほめるときと同じく、叱るのも「行動」に焦点を当てるのがポイントだ。
たとえば、遅刻をした部下がいても「遅れるなんて社会人失格だ」などと人格や存在を否定しない。
さらに、叱ったら行動レベルで改善を求めることも大切だ。
遅刻の場合なら「10分前に目標設定をする」「毎朝その日の予定を確認する」といった改善を求めるのだ。改善の行動が見られたときはすかさずほめてあげると部下も自発的になっていくだろう。
部下が自分から動くかどうかはリーダーにかかっている。「部下が動かなくて困る」と愚痴をこぼす前に、上司としての自分の在り方が間違っていないかどうかを振り返っておくべきだろう。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。