山崎 既存のAmebaのユーザーに対してどういうサービスを提供したら興味を持ってもらえるかということは、すごく意識していました。つまり、提供開始時点でのアメーバピグのターゲットユーザーはあくまでもAmebaの既存ユーザーだったので、Amebaとどういう機能連携をするか、しっかり向き合って設計をしたというところは大きかったのではないかと思います。つまり、「Amebaというプラットフォームと癒着したサービス」というところが、アメーバピグがこれほどまでに成功した大きな要因だと思っています。そして、それは他社にはできないことです。
●「きいてよ!ミルチョ」という分岐点
–現在、新たな事業の立ち上げに関わっているそうですね。
山崎 プロデューサーとしてもやっていますが、2013年4月、子どもを持つ母親向けの事業を強化するため、アメーバ事業本部の中に設立された「ママ事業部」の事業部長として、新規事業の立ち上げに携わっています。
–これまでに数々の新規事業やサービスを立ち上げられた中で、最も印象に残っている経験はなんでしょうか?
山崎 やはり12年8月にサービスを開始した「きいてよ!ミルチョ」ですね。入社2年目に立ち上げたアメーバピグは、すごくいい環境を会社に用意してもらって、自分の実力を超えた部分、はっきり言えばラッキーパンチ的な要素がすごく多かった。つまり、成功したのはメンバーの方々のおかげだと思っています。そして、その後も新規事業やサービスの立ち上げに関わってきましたが、実は「きいてよ!ミルチョ」の開発を始める直前に、ある新規事業の立ち上げに失敗して、ちょっと落ち込んでいる時期だったのです。そういう時期に声をかけてもらったこともあって、そこから一念発起し、責任者としてゼロからすべてを立ち上げました。ですから、プロデューサーとして再度ヒットを出せたという意味で、すごく印象に残っています。
–プロデューサーという仕事の醍醐味は、どこにありますか?
山崎 入社早々のプロデューサーであっても、いろいろと仕事を任せてもらえるような社風や仕事環境があるということは、醍醐味のひとつではないでしょうか。ただ、立ち上げに関わった新規事業や新規サービスが毎回必ずうまくいくかというと、それは非常に難しいですね。だから、経験を積んで、その確率を上げていくことが大事だと思っています。
それから、立ち上げまでの期間はすごく苦しいですけれども、サービスを開始して、その成果、つまり多くのユーザーに利用してもらえるようになったときには、プロデューサーとしての醍醐味を感じます。そういう挑戦をさせてもらっているということは、すごく幸運だと思います。
–プロデューサーに一番求められるスキルは何ですか?
山崎 「このスキルひとつだけを極めればいい」というものはありません。それはどの仕事でも同じではないでしょうか。スキルよりも、私がすごく大事だと思っているのは、ビジョンを大きく持ちつつも、過信をせずに進めていくということです。つまり、周到に準備を重ね、いろいろな場合を想定しておくことが大事と考えています。それでも失敗はありますからね。その前提に立って、人の評価に惑わされず、自分の真価を高めていくことが大事なのではないでしょうか。