6月3日、2014年ワールドカップ・アジア最終予選の日本対オマーン戦が埼玉スタジアム(埼玉)で行われ、日本は3対0で快勝した。
長友(佑都、DF)がよく前へ上がって、ほとんど「3-4-3システム」のMFのポジションで攻めていたが、長友が前線まで上がった際は、ほかの選手がDFの位置まで下がって、相手のカウンターをカンペキに防いだのが大きな勝因のひとつだ。
この試合で、ザッケローニ監督が出した強い指示は、以下のようなものであった。
「長友・香川(真司)・本田(圭佑)と、海外で名の通っている選手の左のトライアングルが、相手選手たちをうんと引きつけて、左サイドから右サイドへボールを突きさし、それを右の前田(遼一)・岡崎(慎司)という点取り屋が打て。ただし、本田はトライアングルから外れて、右で前田・岡崎とともに狙い撃ちしてもよい」
オマーン戦で取った3点はすべてこの戦術によるもので、これだけ監督の采配が命中するのも珍しい。ザッケが、点が入るたびに大喜びしていた気持ちもわかる。
「コアな絆」が勝負を決める!
それにつけても、思い起こすのは、前回ワールドカップ(南アフリカ大会)のカメルーン戦だ。前哨戦で2連敗していた日本が、この1勝で大きく生まれ変わった。その時の本田の1点を生みだしたのは、本田(トップ)、遠藤(保仁)・長谷部(誠。ともにトップ下)、阿部(勇樹)(アンカー)の4角形だった。
この時は、監督の指示でなく、選手たちのアイデアと打ち合わせによるものだったらしい。これで選手も監督も自信を取り戻し、マスコミも手のひらを返したように批判をやめ、国民の期待も急上昇したのだ。
今回のオマーン戦も、2年前のカメルーン戦も、確実に結果を出す「コアな絆」の存在が重要なことを示している。
ビジネスにおいても、販売アップやコストダウンといった、日常業務の延長線上のようなことなら、「全員総ぐるみ」で取り組むかたちでもよいだろう。しかし、組織改革やシステム変更によって、社員全体の意識を変え、局面を打開しなければならない場合は、まずは一部の社員の間だけでも「コアな絆」をつくって、一点突破→全面展開しなければならない。
全体が沈滞している危機の中でも、「コアな絆」さえあれば、それは乗り超えることができる。渦は一点からしか起こらないし、必ず全体に波及するからだ。
香川の後悔と反省
今回のオマーン戦では、もうひとつ、香川のプレイと心理が注目に値する。