香川と本田のラインが、香川が所属のドルトムントでは、トップ下(本田のポジション)にいただけに、まだしっかり連結されていない。このコンビがどのように結ばれて、どちらが得点するのか?――これがまたゾクゾクするほどおもしろい。2人とも本性はかなり重症のエゴイストだからだ。
すべて監督が考えるトライアングルの枠のなかでプレイしていても、おもしろいはずがなく、そこから少しでもはみ出すべきだ。特に香川は、本田をあの傲慢なウェン・ルーニー(イングランド代表選手)に見立てて、駆け引きの練習をすればいい。
それに、ビジネスでもいえることだが、上司の指示どおりに動くだけではいけない。メンバーと”コアな絆”を築きながら、「ちょっとやりすぎる」「はみ出る」ことが、自分の仕事を面白くし、組織で成果を上げることにつながり、結果として部長を喜ばせることになる。
遠藤は、香川の上記のような心理を読み切って、おそらくトライアングルを意識するよりも、香川個人に見事なラストパスを供給することに集中するだろう。そのことで、必ず香川が1点はとるというイメージを描いているだろう。
(文=大西 宏/コンサルタント、ビジネス作家)
●大西宏(おおにし・こう)
三国ケ丘高校(大阪府)時代、サッカー全国大会にMFとして出場し2位。パナソニック元営業所長、元販売会社代表。同社サッカー部長時代に同部を天皇杯獲得に導き、ガンバ大阪発足に際してはその陣頭指揮を執り、釜本邦茂監督を招聘した。退職後は関西外国語大学教授などを歴任し、現在、キャリアカウンセラー、産業カウンセラーとして講演や企業・現役ビジネスパーソンのサポートを行っている。『自由と強制のリーダーシップ』(中経出版)、『松下幸之助の思考法』(実業之日本社)、『サッカー日本代表に学ぶキャプテンシー』(イーブック・ジャパン・アソシェーション)など著書多数。