――しかし、一般のビジネスパーソンの場合、社長クラスの人と頻繁に食事をするというのは難しいと思います。
入江 いやらしい話ですが、僕の場合は「先輩芸人をご紹介する」という名目で会食を取りつけることもありました。でも、これも自分の武器を最大限に活用しているにすぎないんですね。もっと若い頃は、たとえば予約の取れないレストランを用意して「僕と食事の約束をすれば、このレストランに行けますよ」というふうにメリットを提示したこともあります。
簡単に言えば、「相手にとって何がメリットか」ということを考えて、それをプレゼンのように提示するということです。「自分と付き合えば、こんなプラスの要素がありますよ」「僕と一緒にいると、こんなに楽しいですよ」と打ち出すわけで、そうしなければ忙しい方は時間を取ってくれませんからね。
予約の取れないレストランじゃなくても、「あの人と会える」「こんなおもしろい話がある」……とにかく、なんでもいいから自分の武器で相手に興味を持ってもらうように工夫することが大切です。
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――なるほど。では、人と会った際に相手に良い印象を与える方法はありますか。
入江 本書に詳述していますが、最近はやはりSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をうまく使うことでしょう。最近の講演では「SNSをいかに効果的に活用できるか」というテーマで話すこともあります。
たとえば、初対面の人に会うときは事前の準備が大切です。そして、今はフェイスブックやツイッター、インスタグラムなど多くのSNSがあり、ほとんどの人が利用しています。つまり、それらをチェックしておけば話のネタに困らないし、会話は盛り上がるし、相手に“あなたのこと知ってますアピール”もできるというわけです。
今日だったら、僕がエントリーしている「吉本坂46」のことを調べておいて、名刺交換の際に「入江さんに投票しておきましたよ」と言ってもらえれば、思わず「この人は、僕にハマりに来てるな」と感じるわけです(笑)。「のしあがる」「相手に良い印象を与える」「一緒にいたいと思わせる」とは、言い換えれば「自分が相手にとって“ハマる”」ということです。
――そ、それは失礼しました(苦笑)。
入江 いえ、それが悪いというわけではないんです。でも、講演をやっていても感じるのは、「最近の若い人には『のしあがりたい!』という情熱を燃やす人は少ないのかな」ということです。「週休2日あって月に30万円くらいもらえて、休みの日に家族で遊びに行ければ幸せ」……みたいなね。