計画を立てることは本当に重要か?
物事を進めるには計画が重要だといわれます。私たちは義務教育の頃から学習計画を立てる、キャンプの計画を立てる、部活の練習計画を立てるなどの行動を叩き込まれています。社会人になっても、売上計画、新製品の開発計画など、さまざまな計画を立てることを求められますし、キャリアプラン、はたまた人生設計など長期的な計画を立てるのが、よしとされています。
この考え方はその通りだと思うのですが、なんでも計画通りに物事が進むとは限りません。むしろビジネスの世界では、計画通りにいかないことのほうが多いといえます。
実は、計画通りにいくことは、かなり限られた状況においてのみであると、私は考えています。
たとえば、学校の勉強を見てみます。これは範囲が教科書と参考書に限られていて、目標の上限も決まっています。ですから、範囲内の知識をスピーディかつ効率的に頭に叩き込み、テストの場でその記憶をどれだけ再現できるかがポイントです。勉強のやり方にクリエイティビティは求められますが、テストのときに、学習範囲を超えた知識や経験が必要なクリエイティビティを求められることはありません。
また、筋トレやダイエットも勉強に似ています。体重や体型、体脂肪率などの目標を決めたら、あとは必要な栄養素を確保しながらも摂取カロリーを減らし、正しい方法でトレーニングする。それ以上でもそれ以下でもありません。特別な理由がない限りは、ほぼ間違いなく目標が達成できます。
このような「自分の中だけに閉じた世界」での計画立案は有効です。障害となるのは自分の意思だけです。もちろん、自分の甘えに打ち勝つのは簡単なことではありませんが、ほかの影響がない分、結果が出るかどうかは自分次第です。
一方、私の周りを見渡すと、若い頃に立てたプラン通りにキャリアを歩んでいる人をほとんど見たことがありませんし、人生設計に従って日々を過ごしているかどうかも疑問です。
このように考えていくと、計画通りに物事が進む状況は、「自分の中で閉じたこと」だけに限られます。それでも多くの人は、計画、計画と言います。計画の重要性を信じている人は、計画通りに行かなかったときに落ち込んだり、イラついたりします。果たしてビジネスの計画は本当に意味があるのでしょうか。意味があるとしたら、計画をどのようにとらえたときなのでしょうか。