現代を生きる人の多くが抱えているのは、行き場のない「慢性的な不機嫌」。無意味な不機嫌を世の中に撒き散らしている人があまりにも多い。そう述べるのが、明治大学文学部教授の齋藤孝氏だ。
不機嫌な人が一人いるだけで、その場の雰囲気は悪くなってしまうもの。心当たりのある人も多いだろう。では、「不機嫌な人」にならないようにするには、どうしたらいいのか。
『不機嫌は罪である』(KADOKAWA刊)では、SNS時代の新たな不機嫌の形にも言及しながら、自身と周囲を上機嫌にし、現代を円滑に生きるワザを紹介している。
不機嫌は理性や知性とは真逆のものに思えるが、そうではない。気分をコントロールすることは、立派な知的能力の一つだと齋藤氏。気分のコントロールができれば、仕事や人間関係のパフォーマンスを上げることもできる。
そこで本書で紹介されているのが、不機嫌にサヨナラするための3ステップだ。
■ステップ1…自分の「不機嫌の芽」を知る
常に不機嫌でいると、自分が今不機嫌であるかどうかすら分からなくなっていく。そうすると上機嫌に向かうことも難しくなるだろう。
上機嫌になるには、不機嫌の芽が出てきた瞬間をとらえ、芽の時点で摘むように努力するステップが必要だ。だから、まずは自分の「不機嫌の芽」を知ることが大切になる。
■ステップ2…からだを上機嫌モードにする
不機嫌の芽が出にくい状態を維持するためには、からだの調子を普段から整えることを心がける。からだを経由し、こころに働きかける手法がメンタルケアの王道だと齋藤氏。
■ステップ3…こころを取り戻すわざを身につける
からだの状態が上向いたら、こころも大事になる。煩悩は、不機嫌と密接に関係しているので、気分の変動があったときにすぐに平常心を取り戻す「わざ」を身につける必要がある。
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齋藤氏は、特にこの10年で、言葉の負の破壊力が格段に増大したと指摘する。
結果、上司やリーダーの立場にある人は、部下との接し方に気をつけなくてはならなくなった。今の時代、説教ほど危険なものはない。相手は傷つくのみでこちらの真意は伝わらず、その後の関係がギクシャクしてしまうこともある。
なので、叱るときこそ、ユーモアを交えることを齋藤氏は提案する。ジョークを言えるということは「自分は事態を客観的に把握し、コントロールできています」と示すことにもつながる。
相手を叱っても、伝えたい真意を受け取ってもらえなければ、その時間は無駄になる。自分の言いたいことを伝える上でも、本書の齋藤氏の指摘は覚えておきたいところだ。
つい不機嫌になってしまうことは誰にでもある。ただ、そのままにしていたら迷惑するのは周りの人だ。
なんだかイライラする。そんな人は、その原因や上機嫌なこころとからだをつくる秘訣を本書から学んでみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。