私は経営コンサルタントとして、工場の改善プロジェクトなどに頻繁に携わります。まれにプロジェクトを進めにくいと感じることがありますが、その原因は関わる人の能力やコンサルティング・プログラムの良し悪しとは、あまり関係がありません。
では、ほかにどんな原因があるかというと、携わる人たちのなかに「ネガティブな人がいるかどうか」――これが非常に大きな影響を及ぼすのです。
いろいろ人がいれば、そのなかにいるかもしれない
ネガティブな人が半分もいれば、もうプロジェクトは成り立たないものですが、一部にそんな人が存在するだけで、仕事はかなり進展しにくくなるものです。
人と話すと、その人が仕事のできる人かどうか、おおよそ判断できるときがあるのではないでしょうか。コンサルティングの場合でも、チームとしてうまくやれるかどうか、事前にある程度の見当がつきますが、ネガティブな人がいる場合には、プロジェクトを成功に導くには苦労が伴うと覚悟しなければなりません。
そういう人が存在し、ネックになりそうなときには、私はそのことを顧客企業の責任者に早めに伝えるようにしています。伝えたからといって、人を代えてもらえることばかりではありません。どんな企業でも、それほど潤沢に人材を抱えているわけではなく、「自分たちも気づいているが、現在のところ代わりがいない」となることのほうが多いのです。
そんな話をするときには、さまざまな性格の従業員が存在し、それゆえに扱いの難しい人材もいるという前提で、部下の管理に取り組むマネージャーたち(こういう人たちがいるのです)を見て、感心することもあるくらいです。
しかしながら、そのマネージャーたちも、ネガティブな言動をする従業員がいることを好ましく思っているわけではありません。
彼らが口にすること
ここで少し、ネガティブな人たちの振る舞い方を具体的に考察してみます。もっとも多くいるのは、どんなことに対しても「いやっ」と言ってから話し始める人たちです。たとえば「どんな点が気に入っていますか」と聞かれても、「いやっ、気に入っているのは~」という具合に話します。彼らが「はい」と述べてから答えることは、ほとんどないように見えます。
そして自分の考えと異なる意見に対しては、きちんとした態度で聞くことができず、そっぽを向いて聞いていたり、首をひねっていたりします。
よく耳にするのは「(これでは)意味がない」「~になるだけだと思いますよ」といった手合いのことです。つまりコミュニケーションの仕方が未熟なのですが、本人たちは意味のあることを述べているつもりなのも特徴です。自分がただネガティブなだけとは、思っていないのです。
こういう人は、たとえば「夏だから花火を見にいこうか」と言われれば、「何度も見に行っても意味がない」とか「混雑しているから疲れるだけ」といったことを口にするものです。ネガティブな人は、こうした言動で周囲を疲れさせ、組織が前向きに動こうとするのを鈍化させてしまいます。