禁止令を出して意識を高める
私たちも自分にそういう傾向がないか注意してみましょう。口にすることが否定的になっていないでしょうか。「いやっ」と口にする癖があったり、否定的な意味で「だけど~」と言うことがあれば、まずはそうしたことをやめるのをお勧めしたいと思います。少なくとも、それはビジネスパーソンとして適切な言葉遣いではありません。
ネガティブな人は、あなたのPCの画面を見て、「どうしてこんなにたくさんフォルダをつくっているんですかぁ」などと、どうでもいいことに対してさえ否定的で、またそうしたことを言って笑っていたりするものです。
こうしたネガティブな雰囲気や言動は伝染してしまうことがあります。あなたの組織にはそんな風潮はないでしょうか。筆者の私もさまざまな企業を訪れますが、ポジティブ、ネガティブ、社員同士の仲の良し悪し、顧客に対する敬意の持ち方の度合いなど、特に意識しなくても自然にわかることは多いものです。
もし自分たちの組織のなかにネガティブな雰囲気があるようなら、ぜひそれを改善していきたいものです。あなたが上司であれば、部下たちには「ネガティブ言動禁止」と宣言するのも1つの方法です。そうしたルールを用いて、「ネガティブさ」「それがもたらす悪影響」について、意識を高めてもらいます。
セクハラ、パワハラなどの言葉が浸透することによって、世の中全体のハラスメントに対する意識は一層高まりました。「ネガティブ」も、すでによく知られた言葉ではありますが、好ましくないものとして、人々の意識がさらに高まるのがよいことに思えます。
実は「できる人」も数多く存在している
ネガティブな人は、ネガティブだというだけでは排除できないことがあるものです。組織にとっては、そこが難しい点です。彼らはいくらネガティブでも、まったく仕事をしていないわけではありません。私がコンサルティングで関わる人たちも、会社に必要な技能や、プロジェクトに不可欠なノウハウを持っていることが多いのです。また、否定的な言動が多くても、やることはやっているというケースも珍しくはありません。
こういう人たちに比べたら、むしろ「やるといってやらない人」のほうがやっかいなのです。なんら否定することなく、いつでも協力的なことを口にするのですが、次のミーティングで会うと「すみません。やっていません」という人は、結構存在します。
つまり、「ネガティブなことを言う癖さえ直せば頼れる人」は非常に多く存在しているように思えるのです。
私はコンサルティング先で、「ネガティブ発言はなしでお願いします」と頼むことがあります。こう言うと、なぜだかどっと受けたりすることがありますが、ネガティブになることだけやめてくれたら、あとは全部大丈夫と思えることがあり、そうしたルールをつくるのも、時として大事なことに思えるのです。
私たちは、自分自身にも「ネガティブ発言や思考は禁止」と言い聞かせるだけで、思考の仕方を前向きに変えられるものです。「やってみないと損」と思えるくらい効果が出ることもあります。組織内だけでなく、個人としてもぜひ意識して取り組んでみましょう。
(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)