人前で話す直前にやっておきたい「あがり症克服トレーニング」
人前で話すことが怖い、人前で話すことが苦手。こうした意識を持っている人は多いだろう。では、なぜ、「怖い」「苦手」という意識が生まれてしまったのだろうか。これを知ることは、人前で話すときの怖さや苦手意識を克服する第一歩だ。
大事なプレゼンや発言が求められる会議などで、多くの人の前で話すと誰でも緊張する。一番緊張感が高まるのは、やはり話す直前だ。あがり症の人の多くは、プレゼン会場や会議室のドアを開ける前、身体がガチガチになっているのではないだろうか。
その証拠に、プレゼンや会議が終わった後、身体が弛緩する感覚を味わったことのある人は多いはずだ。それは裏を返せば、緊張でずっと身体がこわばっていたということだ。
年間300回以上の講演を行い、『決定版!あがり症克服の教科書』(かも出版)を上梓した鴨頭嘉人氏は、「手足が震える、口が渇く、胃酸が出る、頭が真っ白になる。これらは全部、身体の反応」だと述べる。
そして、あがり症に悩む人は、その身体の反応が怖いのだという。身体の反応が出るから、「人前で話すことは怖いことだ」と自然に結び付いてしまっているのだ。
つまり、人前で話すことの怖さや苦手意識を克服したければ、「身体の反応」をコントロールする方法を身に付ければいいのだ。「年間300回以上の講演家が明かす、あがり症を克服する秘訣」第2回は、人前で話す直前にやっておきたい「あがらないための身体の使い方」をお伝えしていく。
身体の緊張をコントロールするシンプルな原理原則
身体の反応をコントロールするというと難しく思えるかもしれないが、その原理原則は意外にシンプルだ。人が緊張するのは身体が固くなる(こわばる)ためだ。逆に言えば、身体がやわらかい状態であるならば、緊張することはできない、ということになる。
いかがだろうか。ゆるめた直後の状態からは、過度な緊張はしにくいはずだ。このように、本当にリラックスして身体がやわらかい状態になると、緊張することは難しくなる。
したがって、人前で話す直前に自分の身体の状態を意識し、「緊張しすぎているな」と思ったら、一度、全身にグッと力を入れてから一気にゆるめることで、リラックスした状態をつくることができる。逆に、緊張が足りないと思ったときには、身体を固くすれば緊張感も高まるのだ。
「上がった」もの「下げる」ことでリラックスできる
もうひとつ、上がったものを下げることで身体の緊張をコントロールすることもできる。人前で緊張することを「あがる」と表現するが、それは、頭に血が上(のぼ)った状態に由来する説が有力だとされている。しかし、いわゆる「あがった」状態のときには、それ以外にも上がっている身体のパーツがある。それが「肩」だ。