自己啓発というと、自分自身に厳しい要求をしたり、制限を加えるといったイメージを持つ人もいるかもしれません。しかしながら、「ビジネスパーソンの自己啓発」では、決して張り詰めた気持ちでいることは、お勧めしていません。むしろ私たちは、いつでも気持に余裕を持っていたいものです。
「気持ちに余裕を持つ」ことは、決して難しいことではありません。なぜなら、私たちは緊張していると思うことがあれば、「少し気持ちに余裕を持とう」と考えるだけで、フッとラクになれるものだからです。
ラクな気持ちになる簡単な方法とは
あなたも(いわゆる)「テンパった状態」の人を見たことがあるでしょう。たとえば、仕事でピリピリしている状態の人です。なんとか仕事をこなそうと、あるいはしっかりやろうとしながら、一杯一杯になってしまっている人です。仕事以外でも、たとえば電車で席を確保しようと、目の色を変えて駆け込む人なども、余裕があるのとは逆の状態になっています。
英語ではこれをtense(テンス、「ピンと張りつめた」という意味)という言葉で表現します。誰でもテンスな状態になることはあり得ますが、あまり頻繁にあるなら、あるいは自分でもそれが気になるなら、「気持ちに余裕を持つこと」に向き合ってみましょう。私たちは、テンスにならなくても、同じことを余裕のある状態で行えるからです。
その方法は先にも述べたとおり簡単で、「気持ちに余裕を持とう」とつぶやくだけでいいのです。「大丈夫、大丈夫」と口にしてみます。それだけで、あなたは本来持っている余裕を感じることができます。ぜひそれがどんな状態かを実感してみてください。多くの人は、何度かトライしているうちに、少しずつ感じるようになると言います。
考えてみれば、自分も余裕がないかもしれない
こういう私も、もともとはテンスになりやすく、肩に力が入りやすいほうです。そして、それを見た人から、「余裕のない人だなぁ」と言われたことがあります。
そう言った人は、知り合いではなく、たまたまその場に居合わせた他人でした。私はあるとき、整っているとはいえない身だしなみで、汚れた靴を履き、隣にだらしなく座った若い会社員を咎めたことがありました。見ず知らずの相手でしたが、その人の投げ出した足が、何度も私の足にぶつかっているのに、知らん顔をしているので、その態度を注意したのです。そうすると、その人は私のことを「余裕のない人」と呼んだのでした。
公共の場で寝そべるように椅子座り、スマホでゲームをしている人から「余裕がない」と言われるのは心外でしたが、それはまったく間違っているとも言えないように思えました。