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海外エイリアン映画ヒロイン役を射止めた日本人女優・斎藤莉奈とは? 園子音作品、ダイソン広告にも出演

構成=中野龍/フリーランスライター
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斎藤莉奈(撮影=橋本美花)

 映画史に残る名作「エイリアン」「グレムリン」などのオマージュとパロディ満載のSFホラー映画「クリーチャーズ 宇宙から来た食人族」(イギリス制作、トニー・ジョビア監督)が6月17日に公開された。同作のヒロイン・アカネ役を射止めたのが、ロンドンに拠点を置く日本人女優の斎藤莉奈(28歳)。どこかで見覚えがあると思ったら、昨年はダイソンの広告にも出演。家電量販店の掃除機売り場でよく見かけた、あのポスターの女性だった。過去には園子音監督の映画「冷たい熱帯魚」にも出演した彼女が、なぜ日本を飛び出して海外に行ったのか? ヒロイン役に抜擢された今作の見どころとは? 現在は日本に滞在している彼女にインタビューした。

――今作は「侵略エイリアン映画史上“最小で最凶”の敵が襲来!」という触れ込みです。どのようなストーリーですか?

彗星を観測するためにバス旅行をしていた大学の教員と学生たちが、小動物型エイリアン“マンピー”と、それを追って来た地球侵略を狙う邪悪な肉食エイリアンと遭遇するストーリーです。しかも、凶悪なエイリアンだけでなく、その手先となったゾンビまで出てきます(笑)。「そんな死に方するの?」「ありえないでしょ!」って、笑いながらゾッとしてもらえるはずです。アクションに加えてハートウォーミングな展開もあり、おもちゃ箱をひっくり返したような見どころ満載の作品だと思います。

――斎藤さんが演じるアカネはどんな役柄ですか?

学生の一人です。日本から来た極道娘という役どころで、日本刀のアクションシーンもあります。周囲と群れない一匹狼のような存在で、“氷の女王(アイスクイーン)”と呼ばれています。アカネは自分の感覚を一番信じています。 常に何が大切で優先すべきなのか論理的に考えて行動します。真っ白な目立つ服を着ているのですが、それも自分が着たい服を着ているだけで、すごく自分に正直なんです。でも、弱い者を放っておけない一面もあって、時々情にほだされてしまうんですよね。そういう人間らしさも表現したいと思って演じました。

――今作のヒロイン役ですが、アカネ役に抜擢された経緯は?

オーディションでした。イギリスでは全ての役者が登録できるプラットホームがあり、そこに制作予定の作品のキャステイング情報が掲載されていて、誰でもインディース作品からハリウッドの大作までワイドにオーディションを受けることができるんです。なぜ私がアカネ役に選ばれたのか、ジョピア監督に直接聞く機会はなかったのですが、撮影に入った時に何人かのスタッフさんが「オーディションのテープを見たけど、すごく良かった!」って声を掛けてくれて。オーディションでは怒りの演技を求められたのですが、それが成功したのかな(笑)。

――ロンドンを拠点に活動されているそうですが、女優になったきっかけは?

神奈川県の出身でして、帰国子女でもなんでもないんです。ごく普通の家庭で育ったのですが、動物が大好きで、子供の頃は近所に犬を飼っている家があるとインターホンを鳴らしてお邪魔しちゃうような変わった子でした(笑)。中学の時、雑誌「セブンティーン」の「ミスセブンティーン」に応募して最終候補に残ったことで、芸能事務所に声を掛けてもらいました。その時に「あなたは声が低いから女優向きかも」と言われたのが、役者になったきっかけでした。すぐにお芝居に夢中になりましたし、動物保護活動のボランティアもしていたので、女優として有名になって動物保護の問題を世の中に伝えたいという大志を抱いてしまったんです(笑)。

――過去には園子音監督の映画「冷たい熱帯魚」、深作健太監督の「クロネズミ」にも出演されていますが、海外に拠点を移して活動しようと思ったのはなぜですか?

もっと演技の幅を広げたかったし、ロンドンなら動物保護活動のことも学べると思ったからです。海外で成長すれば、“逆輸入女優”として日本でももっと活躍できるんじゃないかって。英語はほとんどできなかったのですが、思い切って23歳の時にイギリスに拠点を移しました。

――先日、園子音監督のキャストへのセクハラ問題が報道されましたが、斎藤さんが「冷たい熱帯魚」に出演された時は大丈夫でしたか?

当時は高校生でしたが、私は何もありませんでした。私も日本の現場でセクハラとパワハラを受けたことがあります。すべての人が安心して仕事をできる時が一日も早くくることを願います。

――日本で公開される作品への出演は、今作が久しぶりだそうですね。でも、斎藤さんはどこかで見覚えがある気がします。

最近は海外作品が中心なので、日本の映画館で公開される作品は久しぶりですね。でも広告では、昨年はダイソンさんの広告に出演させていただきました。テレビCMではなく、ポスター広告でしたが、日本を中心にいろいろな場所で飾ってもらいました。

――家電量販店で見かけまくった、軽やかにダイソンを持ったあのお姉さんでしたか! でも、SFホラーの今作では全く異なる表情を見せていますね。

仲間を殺したエイリアンと戦う役柄だったので、眉間にグッとしわを寄せてアカネになり切って撮影に臨みました(笑)。エイリアンはパペットだったのですが、操作している俳優さんたちが凶悪な表情もしっかりと作ってくださったので演じやすかったですし、ジョピア監督がすごくフランクな方だったので、役者たちはみんなオープンにアイデアを出し合っていました。私も本格的なアクションは初めてだったのですが、「踊り場よりも階段で格闘した方が、もっと迫力が出ませんか?」と意見を出して、採用してもらえました。日本語で毒づくシーンもあり、アカネの役作りはとても面白かったですね。すごく刺激を受けた現場でした。

――最後に今後の目標を聞かせてください。

私はお芝居がすきです。でもそれと同じくらいに、自分で声を上げられない命のために何かしたいという思いが、私のエネルギーの源です。だからこそ、役者として皆さんに注目される存在になりたいです。個人的には今作のように意外性があって派手な役柄は面白いですし、最近の話題作だと「ドライブ・マイ・カー」のような繊細な心の描写がある作品に惹かれます。日本作品、海外作品と垣根を作らず、役者としてどこまでも挑戦していきたいです。

(構成=中野龍/フリーランスライター)

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