大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者であり、哲学者の岸見一郎氏が、人生との向き合い方、生きる希望を見出すヒントを綴った1冊が『よく生きるココロエ』(岸見一郎著、清流出版刊)だ。
本書では、他者との関わり方、試練や不安との向き合い方、幸せとは何か、人生とは何かなど、生きる希望を見出す36の心得を紹介する。
人生はなぜ「旅」に喩えられるのか
人生がこの先どうなるか、先の人生が見えないと不安なもの。ただ、このような不安があるから人生を幸福に生きられないかといえば、決してそうではない。
「人生は旅」とよくいわれる。旅に出かけるとき、どこに行くかという目的地を決めて出発するが、目的地に到達しないこともあるし、目的地を変えることもある。過程こそが旅であり、「途中」を味わうのでなければ、旅をする意味もない。
旅に喩えられる人生も同じ、というのが岸見氏の考えだ。人生設計をし、できるだけ効率的に生きようとしても、いつ何時死が訪れるかわからないのであれば、過程を楽しむしかない。
先が見えないからこそ、生きてみようかと思えれば、生き方も変わってくる。すべてが計画通りで最後の終着点であるし死すらどういうものであるかわかっているのであれば、人生に驚きも喜びも感じることはできない。わかっていないからこそ、人は夢見ることをやめないでいられる。
旅が「平生の習慣的な関係から逃れること」「習慣的になった人生形式から抜け出ること」であり、「解放、脱出の感情」が伴うように、人生も常識的な価値浮かんから逸脱することがあっていいはずだという。先が見えず、常識的な生き方とは違う人生を送れば、不安になることはあっても、闇の中を手探りで歩き、自分で人生を形成していくことにこそ、生きる喜びを感じることができるのだ。
近年、災害やコロナ渦など、予想を上回るような自分ではどうしようもできない出来事が起こるようになり、働き方や生活も変化していき、今の状況や将来に不安を覚えることも増えたかもしれない。そんな社会で、どのように生きていけばいいのか。どんな時代、社会でも、生きる希望を見出すヒントを本書から得てはどうだろう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。