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愛人紹介“ビジネス”の裏側~愛人をつくれる男に学ぶ、素養・分析力・危機管理力

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–つまり、自分に自信があるということですね。

清宮 そうですね。愛人をつくる人は、高い店ばかり行かないんですよ。「お店の格=自分のステイタス」とは考えないので、いろいろなことを広く知っているし、また知ろうとしている。当時の私みたいな、クラブで働いている学生との約束を、大事な取引の約束と同じように時間の前から来て待っていてくれるんです。対等に扱ってくれて、自分より下の人の世界も、ちゃんと知ろうとするわけです。

●愛人、向き不向きの要素

–いま清宮さんは一般企業にお勤めということですが、まわりのOLさんなどを見ていて「愛人に向いているな」と思うのはどんな子ですか?

清宮 これも男性と同じで、頭の回転が速い子ですね。

–一般的には、おっとりした色気のある子が向いているなんて言われますが。

清宮 それは誤解ですね。おっとりしているとか愛嬌があるように見せるのも計算のうちなので。男にウケるためにちゃんと計算しているので、そういう子ほどよく考えています。やはり愛人という立場を考えると、単なる美人では務まらないんです。愛人になれるのは、相手に合わせられる人。例えば、自分のやったことを単にアウトプットするだけの人は、仕事ができない人だと思います。仕事ができる人は、相手がわかりやすいように書類をつくれる人なんです。

–有能であるということなら、愛人だけでなく恋人や奥さんにも向いていますね。

清宮 私が見てきたほとんどの愛人は、奥さんにも向いていると思います。「若いので、学校に行きたい」とか「一人暮らしをしながらOLしたいので、結婚するまでの間、お願いします」という感じで愛人をして、きれいに別れることができるタイプばかりでしたから。

 よい愛人に向いている女性は、よい妻にもなれる。

 次の3点を満たす女性は、愛人としての素養があると思います。

1.いくつになっても学ぼうという意欲があること

2.可愛げを失わないこと

3.なんとなく品があること

これは愛人にも奥さんにも共通していると思います。

●不倫と愛人の違い

–愛人関係の終わりのタイミングや、上手な別れ方についても伺いたいのですが。

清宮 終わりに関しては、本人の口から告げたり、行動で示すケースが多いですね。男性の側だと、お手当を振り込まなくなったり。以前、「あの人(愛人)が来なくなったな」と思いつつも、囲われているマンションに居続けたら、3カ月目に家賃が振り込まれなくなって、これはヤバイと思ってすぐ次の男を探した女の子がいました。この子は自分で終わりを察したわけです。男が口に出さずに行動で伝えようとするのは、「いい人でいたい」という日本人の風潮ですよね。「考えておきます」という台詞と一緒。日本人が「考えておきます」と言うのは「NGです」ということですから。

 だからこそ、こうしたことを理解できる頭の回転の速さは、欠かせない愛人の要素になるのです。半面、こうした事実を第三者から聞いた男性は憤りを隠せないでしょうね。女性の側からは、終わらせたいときちんと告げたほうがいい。そうでないと、男性が執着して付きまとってくる可能性すらあります。正面切って「私、結婚します」と伝えると、男性の側は引いてくれるはずです。むしろ大抵の男性は喜んで送り出しますね。俺が育てた、ぐらいの感覚があるんでしょう。あくまで「愛人ビジネス」なので、「あなたのことが好きだから家族と別れて」と言うのは、一番のルール違反です。

–情が絡んできたら、それは不倫ということですか?

清宮 不倫は、いい方向に向かないと思うんですよね。結局、男もダメになっちゃうし。だから愛人ビジネスは、よくも悪くも上昇志向でなければいけないんです。愛人の子たちには、お金をもらうことで人生に成功してほしいと思っています。東大の大学院を出たある女の子に「若いうちはお金がいるので、パトロンは必要ですよね」と言われたことがあったんですよ。

–お金を介在させて割り切るというのは、ある程度頭がよくないとできない。アピールすべきは「不倫と愛人ビジネスは違う」ということですね。

清宮 「愛人」は、本当に「ビジネス」なので。でも、日本の風潮が、こうさせたんだと思っています。00年以降、六本木ヒルズができて銀座の並木通りにブランド店がオープンして、「CanCam」(小学館)、「ViVi」(講談社)、「JJ」(光文社)といった、女子大生をターゲットにした雑誌に数十万円するバッグがたくさん載っているじゃないですか。やっぱり欲しくなりますよね。不倫している子は、「お金をもらっている恋愛はおかしい。それは風俗だ」と言うんですけど、不倫して既婚者に恋愛感情を持って家庭を崩壊させて自分のものにするのとは正反対なんですよ。不倫と愛人ビジネスは対極にあるのです。

–愛人ビジネスをいま振り返ってみて、どう思われますか?

清宮 お金がすごくあった時期に留学しようと思っていたのですが、そのときに税務調査とかのトラブルがあって行けなくなってしまって就職することになったんです。でも留学したとしても、ロサンゼルス(LA)とかニューヨーク(NY)で愛人ビジネスをやっていたと思いますね。実際03年頃、LAで会社を経営している日本人から「NYに日系企業が進出しているから愛人紹介業をやろう」と誘われて、視察に行ったりしていたので。だから、求められる限りは、どうしても続けてしまうんです。いまは愛人ビジネスから足を洗ったつもりですが、もしかしたら束の間の休業なのかもしれません。
(取材・文=丸山佑介/ジャーナリスト )

・プロフィール 清宮こころ
30代女性。銀行員を経て、大手企業に転職。大学生の頃に東京・六本木のクラブでホステスをしながら、愛人紹介ビジネスを始める。現在は愛人紹介業からは離れ、会社員として勤務している。

BusinessJournal編集部

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