「30代の主婦限定」「20代の独身男性のみ」という表記が気になって何か商品を購入したことはあるかもしれない。これは「カクテルパーティー効果」という雑音の中で自分に関係あるものだけが聞き取れる心理効果を応用したものだ。
また、雑誌の袋とじを覗きたくなったり、「会員様限定」に興味をそそられるのは、禁止されるとどうしても欲しくなってしまう「カリギュラ効果」が影響している。
営業活動や販売方法などは、このような心理学をベースにしたものは多い。
うっかり買ってしまう?営業・販売における心理戦術
『決定版 営業心理術大全 人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(菊原智明著、明日香出版刊)では、ビジネスの基本である第一印象からはじまり、営業で必要なアプローチ、トーク、クロージング、ファンづくり、ピンチ・トラブル編など、73の心理術を紹介する。
ネットの口コミやレビューを見て商品を買うかどうか検討する人は多い。商品やサービスを制作した会社が「当社の商品は最高品質で、とても良い商品だ」と主張しても、それを鵜呑みにして購入を決めるお客は少ないだろう。しかし、それが第三者の意見だと印象は変わる。
口コミやレビューで高評価だと途端に商品を信用でき、購入ボタンをクリックしてしまうもの。また、影響力のあるテレビ番組で「このコンビニスイーツが満足度No. 1」と紹介されたり、有名ユーチューバーが「これが最高、絶対オススメ」と発信した次の日には品切れや品薄になることもある。
こういったことを「ウィンザー効果」という。当人からではなく、第三者からの意見だと信ぴょう性が増し、受け入れやすくなるという心理効果だ。
負けていたり、相手よりも劣っている戦力のチームをつい応援したくなるのは「アンダードッグ効果」という心理だ。アンダードック効果は「負け犬効果」と言うこともある。
アンダードッグ効果は営業でも活用できる。一生懸命努力していても売れないのは、それがお客様に伝わっているかは別問題だからだ。「頑張り」をもっと伝える努力や工夫をすることで、「アンダードッグ効果」が働くこともある。百戦錬磨のベテラン営業でも注文が取れなかったお客様が、知識も経験も少ない新人営業の一生懸命さに負けて注文を出してしまう。これもアンダードッグ効果によるものだ。
本書を読んで日常の中で「確かにこういう心理が働いて商品を買っている」と思うことは多い。本書で紹介している営業心理術は、営業職の人はもちろん、営業職以外の人でも活用できるはず。心理術を効果的に活用することで、仕事の成績もアップするかもしれない。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。