在京民放キー局に入社した今年の新人女子アナたちが、今秋の番組改編からレギュラー番組を担当し始め、本格的にアナウンサーとしての歩みを始めた。
なかでも、局の看板音楽番組である『ミュージックステーション』の新サブMCに大抜擢されたテレビ朝日の鈴木新彩アナの活躍が目覚ましい。話題性も含め、現時点で鈴木アナの“1人勝ち”の状況となっているが、残る7人の新人女子アナたちは果たしてどのような活躍ぶりをみせているのか。今回はランキング形式で検証してみよう。
岸本理沙アナ(フジテレビ)
まず第7位は、フジテレビの岸本理沙アナだ。千葉県出身で慶應義塾大学経済学部卒。現在は『Live News イット!』の木・金のフィールドキャスター、『BSフジLIVE プライムニュース』のニュース担当、そして深夜の音楽番組『Tune』のMC(先輩女子アナ2人と交代制)と、3番組を担当しているが、“岸本アナといったらコレ!”という番組がない状態でもある。
ただ、2歳から6歳までアメリカ・ニュージャージー州で過ごした帰国子女で、帰国後も12年間英語を学んでいたこともあり、英語が堪能な点が強みだ。大学時代は塾講師として小学生から高校生まで幅広い年代に英語を教えていたほか、大手芸能事務所のスターダストプロモーション(キャスター部門)に所属し、大学3年次の2020年に音声プラットホーム“Voicy”の英語ニュースチャンネル『Voicy News Brief with articles from The New York Times』で半年間、木曜パーソナリティを務めていたほどの“猛者”。
さらに、この番組ではニューヨーク・タイムズのニュース記事を英語で2つ読んだあとに、出てきた単語をピックアップして日本語で解説するなどしたというから、英語力は間違いなし。その実力を生かせる番組や機会に数多く恵まれれば、注目度はアップするはずだ。
吉村恵里子アナ(TBS)
第6位はTBSの吉村恵里子アナ。大阪府出身で同志社大学経済学部卒。2019年のミスキャンパス同志社グランプリを獲得しており、大学在学中はセント・フォース関西に所属していた。そんな吉村アナは、167センチと女性としては高身長で黒髪ロングヘアーも印象的。
この秋から朝の情報番組『THE TIME’』と『THE TIME,』の進行キャスターに起用されている。現在は主にこの2番組だが、特に後者は局が力を入れている。ここに投入されたということは、期待されている証しだ。加えて、正統派キレイ系女子アナなので、近い将来、報道のエースになれる可能性を秘めている。まずは、この番組で経験をたくさん積んでほしいところだ。
林田美学アナ(日本テレビ)
第5位は日本テレビの林田美学(みのり)アナである。静岡県出身で早稲田大学教育学部卒。今年7月18日に朝の情報番組『ZIP!』の生放送に初出演し、テレビデビューを飾った。現在の主な担当番組は『全国ご当地ニュースバラエティー SHOWチャンネル』『午前0時の森』『ZIP!』、そして『ズームイン!!サタデー』の4本。ただ、『SHOWチャンネル』の進行役は隔週担当、『午前0時の森』は火曜の天気予報担当、そして『ズームイン!!サタデー』は月末ニュースコーナー担当なので、実質的な“見せ場”の番組は木・金のSHOWBIZキャスターを担当している『ZIP!』のみとなる。
それでも『ZIP』に起用されたことは、バイタリティ溢れる彼女にとってはピッタリかもしれない。実は林田アナは、大学4年時に声優検定2級の資格を取得。これは社団法人日本声優検定協会によって行われている、声優・アナウンサー・ラジオパーソナリティなどを目指している者に対し、知識や技術の習得レベルを測定する検定試験である。声優の仕事・演技の基礎知識はもちろん、キャラクターのアテレコにも併せて挑戦したのだとか。同時に“アクションを学んで、表現力の幅を広げる”という目標を立て、アクションスクールに通ったという。
チャレンジ精神旺盛でアクティブな林田アナは、まさにスポーツ番組やバラエティ向き。来年春の改編で“目玉番組”のレギュラーを獲得することが、1つブレイクのきっかけとなろう。
浦野モモアナ(日本テレビ)
次は第4位である。惜しくもベスト3入りを逃したのは、林田アナの同期・浦野モモアナだ。東京都出身で日本女子大学文学部卒。林田アナと同様、今年7月18日に朝の情報番組『ZIP!』でテレビデビュー。現在の主な担当番組は『オードリーのNFL倶楽部』のアシスタント、『SHOWチャンネル』(林田アナと隔週で進行役を担当)、『バゲット』の隔週月曜レギュラー、『Oha!4 NEWS LIVE』の金曜担当メインキャスターの4本。
林田アナと同数だが、大きいのは『Oha!4』でメインを担当している点だ。歴代の新人女子アナが何人もメインを任されてきた、いわば“登竜門”的番組だからである。ちなみに、大学時代には日本テレビのアナウンススクール“日テレ学院”を受講していたこともあり、大学2年時の2019年4月10日から20年3月25日まで、なんと『Oha!4』で学生リポーターとして出演しているのだ。つまり、“里帰り”した格好だが、しっかり成長してメインで帰ってきたのである。
さらに、先輩アナの代打で『news every.』に5回、『ヒルナンデス!』に3度、出演を果たしている。特に後者に関しては、来年1月5日からアシスタントに起用されることが発表されたばかりだ。これが仮に今秋の改編からだったら、ベスト3入りどころか1位も狙えた。2023年の浦野アナの活躍に期待したい。
藤井由依アナ、中原みなみアナ(ともにテレビ東京)
ここからはいよいよベスト3である。3位は藤井由依アナ、2位は中原みなみアナで、ともにテレビ東京期待の星だ。藤井アナは福岡県出身で中央大学卒。中原アナは神奈川県出身で慶應義塾大学法学部政治学科卒である。2人の初お披露目は今年5月19日。人気バラエティ『タクシー運転手さん 一番うまい店に連れてって!』のPR活動を行い、テレビデビューより先に紙媒体やネット系媒体の記事に載った。これが彼女たちにとってアナウンサーとしての初仕事であった。
そこから約1カ月後の6月22日に放送された『テレ東音楽祭2022夏』で、2人同時に待望のテレビデビューを果たすと、7月からは2人が隔週交代する形で『7スタライブ』の女性メインキャスターに起用されている。特に中原アナは7月1日を担当したため、今年の民放キー局の新人女子アナのなかで最も早くレギュラー番組をゲットした形となった。
この2人の同時起用はさらに続き、同月25日から子ども向けニュース番組『秒でNEWS180』のキャスターを務めているほか、8月6日放送の『隅田川花火大会 特別編』で中継リポーターを担当したのだった。
ここから秋の改編で藤井アナは、局が誇る夜の看板経済報道番組である『ワールドビジネスサテライト』の“トレンドたまご”のコーナーの火・金を担当することになった。かたや中原アナも、朝の経済報道番組『ニュースモーニングサテライト』の木・金サブキャスターに大抜擢されている。
ここまでほぼ同じ道のりを歩いている2人だが、この順位の差は、中原アナがお休みの先輩女子アナの代わりに『よじごじDays』や『ワールドビジネスサテライト』に代打出演を果たした点にある。さらに彼女は、番組と番組の間に流れる5分間ニュースも多々任されるなど、1年目にしてはかなり重宝されているのだ。
そんな中原アナは大学時代、フジテレビのアナウンススクール・アナトレでアナウンス技術を学び、38期BSフジ学生キャスターとして木曜日の『BSフジNEWS』を担当。対する藤井アナも大学時代、テレビ朝日アスクに通い、『News Access』(BS朝日)に学生キャスターとして出演した経歴を持つ。現状、2人とも大学時代の経験が生かされており、いずれも即戦力クラスの新人なのである。
松﨑涼佳アナ(フジテレビ)
そして最後、注目の第1位は、フジテレビの松﨑涼佳アナだ。神奈川県出身で早稲田大学スポーツ科学部卒。今年6月18日に同期入社の岸本理沙アナと『週刊フジテレビ批評』で地上波デビューを飾ると、7月3日から週末夜の看板スポーツ番組『S-PARK』の日曜フィールドキャスターに就任。
松﨑アナにとって、まさにうってつけの番組がレギュラー番組となったのである。というのも、中・高は陸上部所属で短距離選手として活躍し、大学では箱根駅伝などで有名な体育会競走部に所属。そこでは選手ではなくサポート役の学生トレーナーとして4年間活動し、常にスポーツに携わってきた。その経験はしっかりと生かされており、同番組のメインキャスターである佐久間みなみアナや黒瀬翔生アナが海外出張などによる不在時、すでにメインキャスター代行を任されているほどだ。
さらに秋改編で『FNN Live News α』の金曜スポーツキャスターに起用され、“第34回出雲全日本大学選抜駅伝競走”の中継ではインタビュアーを務めている。これだけスポーツ漬けにされているということは、すでに局としても次世代のスポーツキャスターというビジョンを描いているに違いない。この時点で将来の輪郭がみえている松﨑アナを今回は1位にしてみたい。
結果、明暗を分けた形となったフジの2人。一方でテレ東の2人が揃ってベスト3入りを果たす快挙となった。だが、この評価はあくまで現時点でのもの。“新人”の肩書が取れる来年は、全員が干支のうさぎのようにピョンピョン跳ねて大きく飛躍することを願っている。