今年世間に広く知れ渡った言葉の一つに「ブラック企業」があります。長時間労働やサービス残業はあたりまえ、福利厚生も名ばかりの労働者を搾取する企業のことで、社会問題にまで発展しています。
その一方で、搾取される側の労働者は“社畜”と呼ばれます。
やりたいことでもないのに、ただ給料の為に夜遅くまで仕事をする…。そんな毎日にストレスを抱え、しまいにはうつ病を発症してしまう人もいます。
しかし「正社員なだけマシ」というこのご時世、社畜が嫌だからといって転職をしても、次の会社でまた社畜生活が待っている状況において、どのようにすれば人間的で健全な生活が送れるようになるのでしょうか。
サラリーマンとして勤めるも副業で1億円以上を稼いでクビになり、独立起業したという異例の経緯を持つ小玉歩さんは、社畜が嫌ならば「仮面社畜」になることを勧めます。
『仮面社畜のススメ』(小玉歩/著、李白社/刊)は社畜を抜け出して「仮面社畜」として会社に勤務しながら、自分らしく生活を送るための42の方法を説いています。
「仮面社畜」とは会社に勤務しながら、その会社を利用して精神的に自由な働き方を手にする働き方のこと。それを実現するためには、会社の空気に流されずに結果を出し続けることが大事です。では、そのためにはどうすればいいのでしょうか。
■社畜は、クレームに完璧に対応しようとする。仮面社畜は、クレームは気にしない。
特に営業をしている人にとってクレームは付き物。しかも、トップクラスにストレスがたまる業務といえます。
しかし、クレームを出す人をなくすことはできません。ならば、「クレームはあって当たり前」という感覚を持っていれば気が楽になるのではないでしょうか。慌ててしまって火に油を注ぐような対応をせず、常識的な対応を取っていれば、それ以上気にする必要はありません。クレームが来るんじゃないかとビクビクするのは社畜そのもの。特に大企業の場合には専門の部署があるので、クレームが起こった際には担当者に任せるのが一番です。
■社畜は、経費を使う。仮面社畜は、自腹を切る。
会社によって各々ルールはあるものの、総じて面倒なのが経費申請。
急な要件で少し離れた場所に行かなければいけなくなったときに、「ルールだから」と特急が使えなかったり、予算の承認に時間がかかり菓子折りも持っていけなかったり…。しかし、大きなビジネスにつながる可能性があるのであれば、菓子折りを持って行ったり、呼ばれたら即特急で向かうことも、相手側に見せる一つの誠意です。
もし、経費削減によってチャンスがいくつもつぶれるとするならば、それは削減する意味は無く、むしろ本末転倒。そのとき仮面社畜は自腹を切ってでもショートカットして、確実に結果に近づいていくのです。「ここぞ」という時にお金を使うことは、結果的に自分にプラスになって返ってくるでしょう。
■社畜は、間違いを恐れて完成が遅いのでタイミングを逃す。
仮面社畜は、何ごともスピードを意識してアウトプットの量を増やす。
日本人は成功よりも失敗に対して敏感なところがあります。大きな成功は望まないけれど、失敗はしたくない。そんな風に思っている人も多いはず。
しかし、間違いを恐れる事こそが正に「社畜」です。今のビジネスマンには、すべてにおいて処理スピードを早めることが求められます。だから多少の失敗や間違いはあるとしても、5割6割完成したら走り出すくらいのスピード感を持つといいでしょう。そこから、市場のニーズに合わせて随時変更するというやり方をすればいいのです。