–それには、どのような効果があるのでしょうか?
尾藤 会議中や打合せをしている時にこれらの曲がかかると、非常に目立ちます。すると例外なく、「なんで、この着信メロディーにしているのか?」と聞かれ、そこで彼は「元気が出る曲なので」「ポジティブになれる曲なので」と答えるのです。
–相手にポジティブな印象を残すことができるのですね?
尾藤 エグゼクティブ層など、社会的ステイタスの高い立場の人は、例外なくポジティブな人が好きです。実力や努力以上に「運がいい」ことを重視する傾向があります。相手の目に、ポジティブで面白そうな人物と映れば、覚えてもらえる可能性も高まります。直接会う前に話題を集めておいたり、デキる議員秘書はネタ仕込みに余念がありません。
–ほかにも面会時に心がけるべきポイントはありますか?
尾藤 参考になる例として、別の議員秘書の知人は、夏場には野球などのスポーツで使われているコールドスプレーを常に持ち歩いています。打撲をした時などに、応急処置として衣類の上から吹きかける冷却用スプレーです。
–どのように使うのですか?
尾藤 例えば、真夏の炎天下に大使館や大手企業を訪問する際など、汗ダクで面会するのは決してよいものではありません。そのような時には、地肌にスプレーをかけて汗を瞬時に抑えて身なりを整えてから面会に向かうわけです。汗をかいて髪型もグシャグシャに崩れた姿でも、暑いから仕方ないという意見もあるでしょう。しかし、そんな状況だからこそ、むしろ汗を乾かして髪型も整えて、爽やかな出で立ちで向かうと、よい印象を与えられるのではないでしょうか。
–ビジネスにおいても、クールビズが普及しているからこそ、あえてネクタイ着用でスーツを脱がず、爽やかな顔をしているというのは、ほかの人と差をつける演出にすることができるわけですね。
●キーパーソンとの関係性を構築する方法
社内でより良いポジションを確立させて、より高い報酬を得るためにも、キーパーソンの存在は必要不可欠。まず、自分のキーパーソンが誰なのかを見極めることが重要だ。
腰巾着と言われるようなゴマすりを見て、「あんな恥ずかしいことはできない」などと思ってしまいがちだが、それは間違いだ。人は鈍感である。ましてや、多くの人と接することになるキーパーソンであれば、なおさら人の優しさ・親切心に対して鈍感になってしまう。ある程度大げさな行動を取らなければ、相手の印象に残らないのである。恥ずかしいくらいでちょうど良いのだ。
自分のキーパーソンが誰なのかを見極め、高貴な腰巾着やゴマすりとなり、キーパーソンを有効活用することで、人生が豊かになるかもしれない。
(文=小山信康/CFP)
『議員秘書だけが知っている キーパーソンを味方につける技術』 議員秘書は、あくまでも「秘書」ですから、当然、事務処理能力に長けています。そして、そのうえで、人に好かれる能力、認められる能力、可愛がられる能力を持っているのです。 逆に言うと、人に好かれない、認められない、可愛がられない……そんな人ではとても続けられない職業なのです。