会社はよく船に例えられ、経営は航海に例えられます。
その船をどう動かして、どんな航海にするかを決める「舵取り」が、いうまでもなく「経営者」であり「社長」です。
『今は儲かっているけど、ホントは怖くてたまらない君へ 年商1億超えの若手経営者以外は読まないで下さい!』(講談社/刊)は、中小企業を中心にさまざまな会社の事業を成功に導いてきた豊永貴士さんが、中小企業の経営者を待ち受ける「落とし穴」について明らかにした一冊。
本書によると、こんなタイプの経営者は、事業を失敗させたり、会社を行き詰まらせてしまいやすいのだそうです。
■「オリジナル商品」がないことに気づかない
自社の事業や商品、サービスをいかにオリジナリティ溢れるものにするか。
このテーマについて考えない経営者はいないはずです。それこそ朝から晩まで、何千回も何万回も自問自答をし続けるという人も珍しくないでしょう。
そうして生み出された事業が利益を出し、軌道に乗り始めると、経営者はつい、自社の事業や商品に「オリジナリティ」があると思い込んでしまうのですが、そのオリジナリティは本物でしょうか?
いい商品やいいサービスほど他社に真似されます。仮に大企業が参入してきて、より安価で質のいいものを提供しはじめたら、中小企業が太刀打ちするのは難しいはず。
本当にオリジナリティのある事業、商品とは、今はもちろん未来においても他社に真似ができないもののことです。
「今誰もやっていない」ことをオリジナリティだと勘違いしている経営者は、やがて行き詰ってしまうかもしれません。
■既存の事業の特性を理解しない
事業が軌道に乗り始めたら、経営者は当然のごとく事業の拡大を目指します。この時にありがちなのが、既存の事業のやり方を使い、コンセプトだけ変えて新しいサービスを作ろうとすること。
うまくいっている事業のやり方を踏襲するのは一見合理的に思えますが、実はそうではありません。既存の事業を立ち上げて、軌道に乗せるために、経営者は思考に思考を重ね、膨大な労力を費やしてきたはず。それは前述の「オリジナリティ」を徹底的に求め続けた結果なのですから、簡単にコピーできるはずがないのです。
最初から事業を拡大するところまで計画していたなら話は別ですが、安易に既存の事業の二番煎じに走る危険はわかっておいたほうがいいでしょう。