アベノミクスによる景気改善と、2020年の東京オリンピックの開催によってにわかに活気づいたのが国内の不動産投資です。特に都心部の超高額な不動産に注目が集まっており、不況に喘いできた日本経済にとって、明るい未来を見せてくれる出来事となりました。
しかし、この世間の流れに異を唱える人がいます。ヘッジファンド証券株式会社代表取締役の植頭隆道氏です。
植頭氏は富裕層を対象にヘッジファンドへの投資を紹介している投資のエキスパート。そんな植頭氏の『ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ』(幻冬舎/刊)は、リスクを限りなく回避し、確実に資産を増やすための、海外不動産とヘッジファンドへの投資の方法が書かれた一冊です。
本書の冒頭で植頭氏が主張しているのは「国内のリスクを認識し、回避するための方法を練らないといけない」ということ。
では、どうして著者は国内ではなく海外への投資を勧めるのでしょうか。
■日本国債暴落、ハイパーインフレ襲来の可能性は「ゼロではない」
植頭氏は投資における重要なこととして、機微にリスクを回避できる行動を取ることをあげているのですが、その視点からいえば、もちろん日本という国もリスクがあります。
その大きなものの一つが、日本国債暴落、ハイパーインフレ襲来の可能性です。
植頭氏は、それが起きる可能性はゼロということはないとした上で、今後数年は現在のような景況感が続くだろうと予想しています。ただ、「万が一」ということは常に頭に入れておかなければいけないのは事実。あの、リーマン・ショックのように。
■超富裕層たちは国内に固執傾向?
国内にリスクがあるとなれば、目は自然と海外に向くはずです。
著者の感覚でいえば、現在では個人投資家でも資産を1億円以上保有しているような富裕層が、資産を国内外の通貨に振り分けるなどして分散投資をする人が増えてきたといいます。
ところが、それでも10億円を超える資産を持つ超富裕層と呼ばれる人たちの多くは、実質的には国内偏重型の資産ポートフォリオを組んでいます。
日本の国債などがデフォルト(債務不履行)を起こすような“万が一”が起きてしまった場合、国内の金融機関の経営が破たんしたり、預金封鎖といった最悪の事態が訪れるかもしれません。そのときに生き残るのは…海外への分散投資をしていた人であることは自明ですよね。
■国内投資信託にメリットは少ない
さらに、国内投資信託に投資家のメリットは少なく、国内不動産はいまやほぼ“債券”だとも著者は述べます。具体的な理由を知りたい場合は本書を開いてみてほしいのですが、日本経済の現状や、今後やってくるだろう人口減少とそれによる市場の縮小を考えれば、頷ける部分もあるはずです。