毎日、通勤・通学のためにうんざりしながら乗り込む満員電車。
座れなくてイライラするし、周りの乗客のマナーは気になる…。通勤電車の混雑は、高度経済成長とともに始まった「日本人の悩みの種」ですが、この不快な電車通勤を少しでも快適なものにするために立ち上がった一人の男がいました。
『[図解]電車通勤の作法』(田中一郎/著、メディアファクトリー/刊)は、「電車通勤士」を自認する著者が電車通勤を真面目に、そしてユーモアたっぷりに論じた一冊。
著者の長年の過酷で多彩な通勤経験を基に、乗車するべき車両選びから混雑する駅で改札をスムーズに通る作法まで、さまざまな作法が紹介されています。今回はその中からいくつかご紹介します。
■「車両選び」、ここにも注目して
毎日の電車通勤で、皆さんは乗る車両を決めているでしょうか。乗換駅のエスカレーターに近いとか、目的駅の改札に近いとか、悪天候のときなら駅の屋根近くの車両を選ぶかもしれませんね。さて、著者は車両選びの第一のポイントとして「安全性」を挙げています。
電車の事故でもっとも大きな被害をもたらすのは、「衝突事故」。電車同士の衝突や、踏切内で停止した自動車などとの接触など…。万が一このような自己に遭遇した場合、できるだけリスクが避けられる車両はどこになるのでしょうか。
近年、大きな被害を出した事故では先頭車両と2番目の車両に犠牲者が集中しているそうです。それらの車両を避け、さらに念を入れて後方からの追突事故にも備えるとすると、「前から3両目以降、後ろから3両目までの車両」がもっともリスクが低いといえると分析しています。
■流れを乱さず、空気の如く座るべし
さて、乗車する車両を決めたら次は車内での作法です。
それなりに混んでいるけれど空席がある、そんな車両に乗ったとき、座りたくても「座ろうとするとなんだかみっともないし、変に目立つので我慢するしか…」と内心葛藤している人は多いはず。本書では、そんなときのスマートな着席の仕方も紹介しています。
最初に確認すべきは「空席の幅が自分の体に対して適性かどうか」。もしも幅が狭すぎたら、基本的に着席は見合わせようと促します。なぜなら、無理して体をねじ込んでも、乗車中ずっと隣の乗客と気まずい雰囲気を共有しなければならなくなってしまうからです。
十分な幅があると確認できたら、速やかに座る意思を周囲に見せましょう。両席の乗客に目礼し、「失礼します」と声を掛け、ゆっくりと、左右の乗客と等間隔を保ちながら体重を落としていきます。この時に急いで腰を下ろしてはいけません。勢いあまって隣の乗客にお尻をぶつけたり、座席を大きく揺らしたりしてしまうと、同じシートにいる人たちの反感を買ってしまうからです。