1日24時間という決まった時間の中で、いかに効率的に時間を使い、より多くのことをするかということが重要。ダラダラ過ごすのは怠けていていけないような気分になってしまう。
しかし、脳神経科学の世界では、脳を十分に働かせるには、長い時間、何もせずダラダラするのがいいということが明らかになってきているのだ。それにダラダラしている間、脳も一緒に休んでいるというわけではない。
『できる人はダラダラ上手』(アンドリュー・スマート/著、月沢李歌子/翻訳、草思社/刊)では、何もせずに無為に過ごすことの効用と、効率重視の生き方、働きからの不健康さを、脳のオートパイロット機能という最新の脳神経科学研究や心理学、哲学などから解き明かしている。
例えば飛行機の操縦には、常に全神経を集中しなければならない。高度が上昇し、速度が増し、飛行時間が長くなれば、操縦士の疲労は深刻で危険なレベルに達する。そこで導入されたオートパイロットのおかげで、操縦士は飛行機を実際には操縦することなく休息をとり、離着陸といった危険度の高い局面のために精神エネルギーを温存することができるようになった。
実は人間の脳にも、このオートパイロット機能が備わっている。2001年、セントルイス大学の認知神経科学者であるマーカス・E・レイクル氏は安静時の脳活動に関して、私たちが何もしていないときに活発化する「デフォルトモードネットワーク」を発見した。
これは、脳が外部に注意を向けていないときに、動きが活発化するネットワークであり、いわば、脳のオートパイロット機能といえるべきものだった。
この「デフォルトモードネットワーク」は、何もしていないでいるときに活動が盛んになる。fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を使って脳機能イメージングを行うと、被験者が検査台に横になって何もしないでいるときに、このネットワークが活性化するのがわかるという。
「デフォルトモードネットワーク」が活性化すると、ネットワーク内の血流が増加して、より多くの酸素が運ばれる。ブドウ糖の消費が増え、代謝活動が盛んになる。そして、各領域の活動が連携しはじめる。こうして何もしていない時間も脳は休まずに、活性化しているのだ。
無為な時間を過ごすことも必要だということを、本書では実証している。
もし仕事で考え込んでしまったり、いいアイデアが浮かばないときこそ、何もしないでダラダラ過ごしてみると、解決策や良いアイデアが見つかるかもしれない。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。