自社の商品やサービスを売るために、企業の担当者はデータを用いて分析や調査を行い、その結果をもとに戦略を考える。しかし、いくら念入りに分析や調査をしても上手くいかない、商品が売れないというケースは往々にしてあるだろう。
マーケティングコンサルタントの橋本哲児氏は『顧客の「本音」がわかる9つの質問』(秀和システム/刊)で、顧客への「質問」を通して、その本音を見抜き、マーケティングに活かす方法を提案する。
■これまでの手法の穴
これまでのマーケティングの手法としては、商品の強みを考えたり、ペルソナをつくって顧客像を想定したり、といったものがあった。
しかし、橋本氏はそういった手法の穴を指摘する。
例えば「強み」では、多くの企業の場合、商品の「相対的な評価」の強みを考える傾向にある。テレビならば「画質の良さ」などだ。しかし、そこに顧客のニーズがなければ、強みがあるとはいえない。顧客が求める「強み」が重要なのだ。
また、ペルソナについても、ペルソナ自体が正しいとは言えないケースが多い。どのようにペルソナを構築するかによっても大きく変わってくるからだ。
それにペルソナが正しいとしても、売る側が完全に買う側の心理状態になることは難しい。
顧客を取り巻く環境は日々変わる。新しい技術やビジネスモデルも日夜生まれており、それらの影響により、顧客の心は大きく変わる。いくらペルソナを作ったとしても、そのペルソナはそれらの変化に対応できていないかもしれないのだ。
■顧客の本音を知り、売るために用いる
そこで橋本氏は「調査」の重要性を指摘する。
これまでの「調査」というと、ある程度の人数の顧客と会い、直にインタビューをしながら、顧客側の眠っているニーズを探る方法などだろう。それに「費用も時間もかかる」とネガティブなイメージを持つ人も多いだろう。
しかし、本書では、「9つの質問」を設定し、顧客の本音を掘り起こしながら、自社の商品の本当の「強み」を探り、それを用いる方法まで紹介している。しかも、費用も時間もかけない方法を用いる。
■簡潔で実践しやすい
本来調査は複雑なものだが、橋本氏はそれを簡潔な形にまとめているので実践しやすい。9つの質問一つ一つにはそれぞれ、「商品の強み」「顧客の不満」「競合」「顧客接点」「満足度」を探るなどというテーマがあり、売上を上げるために必要な「顧客の本音」を多面的に手にすることができるだろう。
ブランド力のある有名企業とコラボ―レションをしても、簡単には上手くいかない時代。これまで成功とされていた方程式は変わりつつある。
特にインターネットが普及し、顧客が目の前にいなくても成立するビジネスが急速に増え、ネットによるマーケティングの手法もたくさん生まれた。しかし、結局、顧客は人であり、その本音を知ることが重要となる。それはインターネットビジネスでも同じことだ。
『顧客の「本音」がわかる9つの質問』は橋本氏が15年間、ネットマーケティングの現場で試行錯誤した中で作り上げた手法が収められている。「売上」を上げるために「顧客の本音」をどのように知り、どう使えばいいのかという手法はきっと参考になるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。