確かに、女の子同士で気兼ねなくワイワイやっているのは気楽だ。少々ロマンスに欠けるとしても、気張って服を買ったり化粧したりする必要もなければ、冷えやすい勝負下着をつけなくてもいいし、ムダ毛のお手入れもしなくていい。
「女子会」という言葉が市民権を得てからは、女性限定クーポンを発行するレストランや居酒屋も増え、女性同士でつるむほうが、カップルでいるよりメリットが大きいのでは、と思えてくる今日この頃だ。
クリスマス女子会だとかバレンタインの友チョコも一般的になってゆき、イベントに男性を必要としない女性が増えているように思えるのだ。
●1人でも食べられるプティ・クリスマスケーキ
クリスマスケーキといえば直径20~30cmくらいのホールケーキ、あるいは20cm×8cm程度のブッシュドノエルが定番。ホールケーキなら直径10~12cmくらいが2人用だが、今はさらに小さな直径8cm前後の小さなクリスマスケーキも販売されている。一応「2人用」と銘打たれてはいるが、スウィーツ好きなら楽に1人で食べ切ることのできるサイズだ。
例えば、新宿タカシマヤではこういった小さなケーキを「プティクリスマスケーキ」として1700~2500円で販売しているし、東急ストアでも1500~2000円の「プティケーキ」をクリスマスに向けて販売している。
これにデパ地下のお惣菜、ハーフサイズのシャンパンでもあれば、1人でも立派にイヴ気分を味わえる。こういった、小さなクリスマスケーキを買い求めて、気楽なシングルクリスマスを楽しむ独男独女も少なくない。
<雅子さん(仮名、40代公務員女性)>
「イヴはミニサイズのクリスマスケーキに、1人でフォーク突っ込んでガン喰い(笑)。百貨店のカタログを見ながらのケーキ選びが、冬の楽しみのひとつです。ケーキの後はもちろんお酒。寂しくないかって? いえ、これがもう、全然、寂しくないんですよ! 私って寂しさに対して鈍感みたい。だからこの年まで1人なのかも」
若くはない年代になっても、1人でいることに寂しさを感じない。1人でいるのが楽しいから、それ以上に楽しい時間を持てる男性がいない限り、結婚する気もない。
そんな雅子さんは、続けて次のように語った。
「恋人をつくったり結婚したりできちゃうのは、『1人は寂しい』って感じる能力のある人じゃないのかな? だって『1人は寂しい』って感じないと、『わざわざ結婚なんて』ってノリになっちゃうもの」
男性の草食化の陰に隠れて見えにくいが、女性の『寂しさ不感症』も確実に進行しているのではないだろうか?
1人飲みや1人カラオケ、1人焼き肉を楽しむ女性が珍しくなり、それと同時に、クリスマスやお正月を1人で淡々と楽しむ独女も増えているようだ。
例えば、50年前、100年前だったら、女性の1人暮らしは大変な不自由さや惨めさがあったはずだ。けれども今は、生涯独身の女性も増え、力仕事でも日曜大工でも専門の業者に依頼する経済力があれば、女性の独居はさほど不自由を感じさせるものではなくなった。
こういった便利さが女性の結婚・恋愛離れを後押ししているように思えてしかたがない。ちなみに女性の未婚率は、近年うなぎ上りに増加。ほぼすべての年代で、過去半世紀で5倍前後に増えているのだ。
●本当は恋人が欲しいけれど…
最後に、1人ぼっちのイヴを寂しいと思いつつ、どうにもできない独男独女もいることを書き添えておこう。
<愛香さん(仮名、20代フリーター女性)>
「彼氏、欲しいです。合コン行きたいです。でも、派遣先の契約が切れて、時給900円のバイトで食いつないでるんです。流行の服や化粧品を買えないから、合コンなんか気後れして行けない。家賃がきつくて、まともに美容院も行けない。でも同じような経済状態の男子と貧乏合コンなんて絶対イヤ! だからクリスマスはフリーター女子で集まって格安ホムパ(ホームパーティ)です。それ以外に過ごしようがないじゃないですか」