香川、マンU移籍で地元ユースに2千万円 弱小クラブの稼ぎ方
「FCみやぎバルセロナ」HPより
世界で活躍する日本人選手を育てる。
その点で、Jリーグにおいて最も貢献しているのは、ガンバ大阪だろう。過去には宮本恒靖、稲本潤一、大黒将志、家長昭博。現在も宇佐美貴史(ホッフェンハイム)、安田理大(フィテッセ)らを輩出している。日本代表の中心的存在である本田圭佑(CSKAモスクワ)も、ジュニアユースまではガンバで指導を受けていた。育成組織としての実績は、アジア屈指と言える。
しかし今後は、育てるだけでなく「その選手の移籍で商売する」という視点が必要になてっくる。育成と売却。これが世界のフットボールビジネスにおける一つの形になっている。
ポルトガルのスーペルリーガにおける名門クラブ、スポルティング・リスボンは、優秀な選手を育てるクラブとして名高い。過去にはパウロ・フットレ、ルイス・フィーゴという世界を代表する選手を生み出し、リオネル・メッシと並ぶ世界最高の選手、クリスチアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)を筆頭に、ナニ(マンチェスター・U)、シモン・サブロサ、リカルド・クアレスマ(ベジクタシュ)を世界に送り出している。
スポルティングでは多くの選手が過去、チームの財源を潤す移籍金を置き土産に旅立っていった。シモンは19歳の時に25億円でバルサに移籍、C・ロナウドは18歳の時に24億円でマンUへ移籍。こうして得た莫大な資金により、スポルティングは育成アカデミーを充実させてきた。
スポルティング関係者が具体的に目を付けてきたのは、サイドアタッカーというポジションの選手の育成だという。
「育成には特色が出る。自分たちの場合は、C・ロナウドやナニのようにサイドアタッカーを育てるノウハウがあり、売るための道もできている」と同チームの育成担当者は自信ありげに語る。この辺りは製品開発と変わらない。作り出すノウハウと製品を高く売る戦略。両輪が噛み合えば、鬼に金棒である。フットレを除いて、ほかのすべての選手がバルサ、マンUという世界を二分するビッグクラブに移籍。売却ルートも確立されている。
「ポルトガルのクラブには、スター選手を維持するだけの力はない」
同国記者は育成と売却の事情についてそう説明している。
「だからこそ、まずは“お得意様”を見つけないとね。そうすれば、育てた人材があらゆる意味で生かされていく。ポルトガルフットボールは決して裕福ではないから、育て、売り、育てることに投資する、というサイクルを確立させてきた。2001年には連帯貢献金(選手が国際移籍をした場合に、12〜15歳まで所属したクラブは1年当たり移籍金の0.25%、16〜23歳までのクラブは0.5%を移籍先に請求できる)なんて言う仕組みまでできたからね。フットボールビジネスで生き残る術はすべて使わないと」