ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する経営者の“条件”
――どんな人ですか?
塩野 例えば、私がアドバイスをしている時にケータイをいじっている経営者は、大抵失敗します(笑)。その行為自体が、自分が気がつかないうちに、敵をつくっているんですよ。そのような想像力が働かない人は、一旦何かで火がついた時に、周囲の人が喜んで油を注いで、炎上させてしまう。逆に、そのような想像力がある人は、アドバイスしてくれる人に対し「コイツは使えるな」と思って、「今のうちに聞けるだけアドバイスを聞こう」とか、「助けてもらおう」とか、気付く賢さを持っているんです。これは、企業内でも同じですね。余計な敵をつくらず、そういった感情に気付いていても鈍感を装って、「僕、そういうのはわかんないし」と言ってしまえる賢さを身につける。こうした、ビジネスをつくり出す上で大切なことやノウハウ、つまり「取扱説明書」がなかったんです。なら、自分で書いてみようと思ったのが、本書執筆のきっかけなんです。
お金持ちになった起業家が毎晩キャバクラ通い
――起業に失敗した事例も紹介されていますね?
塩野 失敗したことを紹介した本は少ないですね。でも本書に書かれていることは全部実例です。すごくお金持ちになってしまった創業社長が、毎晩夕方になるとキャバクラに通っていたり、ライブドア時代に自称秘密結社から持ち込まれた投資の話なども本当の話です。起業がうまくいった時の、創業メンバーとその他のメンバーとの不調和など、「起業最高!」「シリコンバレー最高!」という話を輸入して書いた本には無かったかも知れません。
――本書には、会社を潰してしまった時の対処法なども、きちんと書かれていますね。
塩野 不幸にして会社を潰した場合、個人的な借金や連帯保証をしているかどうかで、個人の人生が変わってしまうといった基礎知識も解説しています。でも、一番読んでいただきたいのは「会社の閉じ方」。ここでの振る舞いが、その後再起できるかどうかのポイントなのです。元社員達から「あいつだけは絶対に許さない」といった評判が立つと、その後はいばらの道が待っていますね。