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SBの対米戦略に待った!

米司法省、ソフトバンクのネクステル買収を調査 中国企業との取引に安全保障上の懸念

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ソフトバンク
アメリカ合衆国司法省のサイト。
「世界第3位の通信グループ」を目指すソフトバンク、孫正義社長の野望の前に米司法省が立ちはだかった。ソフトバンクの米携帯電話3位、スプリント・ネクステル買収に待ったがかかったのだ。米司法省は1月28日、米連邦通信委員会(FCC)に買収審査を保留するよう要請した。米連邦捜査局(FBI)および国土安全保障省(DHC)が進めている安全保障面での調査結果を待って、FCCは判断を下すよう求めている。

 外国企業が米国の大手放送事業者や通信事業者を買収する場合、連邦政府の安全保障機関による承認が必要となる。通信業界の大型買収では、司法省の独占禁止法部門による審査と、FCCによる無線免許移転申請審査をクリアしなければならない。

 ソフトバンク、スプリント・ネクステルとも「通常の手続き」とコメントしている。しかし、米司法省が安全保障上の調査を行っていることで様々な臆測を呼んでいる。

 ソフトバンクは2012年10月15日、スプリントの買収を発表した。ソフトバンクが中国の大手通信機器会社、華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)と取引していることが安全保障上の問題になる、と米のメディアは指摘した。というのは、米下院の情報特別委員会が2012年10月8日、安全保障上の脅威を理由に華為、ZTEの2社を米政府の通信システムから排除し、米民間企業に取引の自粛を求める報告書を公表していたからだ。

 1年に及ぶ調査をもとに作成された同報告書は、2社と中国共産党、中国人民解放軍、中国政府との特別な関係を挙げて、両企業の内部に共産党の委員会が存在し、企業全体が同党の意思で動くと断定している。

 そのうえで、華為の複数の元社員から、同社が人民解放軍のスパイ部隊に特別のネットワーク・サービスを秘密裏に提供していることを示す書類を入手。中国軍のサイバー部隊が米国の軍や政府、民間企業に多様な攻撃を仕掛け、情報の取得のほか米側のコンピューター・システムの妨害をしているとの認識を示した。

 調査結果を踏まえ同報告書は両社の米国での活動が商業的なものであっても米国の国家安全保障の脅威になるとして、政府や軍関連企業が両社の製品を調達することの禁止を勧告。民間企業にも取引の自粛を求めたのである。

 華為技術有限公司(ファーウェイ・テクノロジーズ)は1987年の設立。創業者の任正非総裁は人民解放軍の出身、孫亜芳・会長は公安部の出身だ。中国政府の後ろ盾を得て、通信機器分野で急成長を遂げ、2012年(暦年)の売上高は前年比8%増の2202億人民元(3兆1700億円)。スウェーデンのエリクソンを上回り、世界最大の通信機器メーカーとなった。

 ソフトバンクとソフトバンクが子会社化したイー・アクセスは華為の携帯電話の基地局を使い、携帯電話の端末も販売している。

 孫社長は華為を対米進出戦略に組み込んでいた。華為の基地局だと次世代高速通信LTEへの移行など高度な規格への切り替えが、一部の部品を取り替えるだけでできる。孫社長にとって華為は有力なカードだった。華為の基地局を使えないのは大きな誤算だ。

 当初「華為の機器を米国内で使わないことを条件に、ネクステルの買収が認められるのではないか」との楽観的な観測があったが、事は国家安全保障に関わる。買収にOKが出るまでには、まだまだ難関がありそうなのだ。