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残業代ゼロルール、公務員は適用除外のまやかし 厚労省抵抗の背景に残業予算の獲得

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柚木道義衆院議員
 安倍政権が進めようとしているホワイトカラー・エグゼンプション(以下、WE)。残業代ゼロルールとも呼ばれるこの制度は、労働時間に関係なく仕事の成果に対して賃料が支払われる仕組みで、要するに残業代が支払われない。具体的には年収1000万円以上、職務範囲が明確で高度の職業能力を持つ会社員を対象に認めようとするものだが、公務員には適用除外だという。今回は、その点を国会で追及している柚木道義衆院議員(民主党)に話を聞いた。

--柚木議員がWE導入に反対の理由を教えてください。

柚木道義議員(以下、柚木) WEは安倍晋三首相が推し進める成長戦略の目玉ですが、実はこの制度はもう古い。アメリカではインフレを反映せず、賃金下降や労働時間の延長などで貧困を余儀なくしているとして、見直しに入っています。日本でも最近、裁量労働制で労働時間規制の適用除外になれば、労働時間は平均して数%延長するという実証研究が発表されました。メンタルヘルスの深刻化や過労死の増大につながりかねない重要な問題です。

--そのような制度を、なぜ日本は導入しようとしているのですか?

柚木 それは「目先の改革」だから。もしWEが本当に残業を減らし、生産性を上げる素晴らしい制度なら、まず国家公務員に適用して手本を見せるべきです。ところが厚生労働省は「公務員には労働基準法が適用されないから、産業競争力会議でWEを適用するか否かは議論しない」と、これを拒否しています。その点を6月4日の衆院厚生労働委員会では私が質問すると、田村憲久厚生労働大臣のそばに控えていた官僚たちが、「我々に適用なんてとんでもない」と一斉に手を横に振りました。

--自分たちには適用されたくないということでしょうか?

柚木 国家公務員の給与には、もともと残業予算が割り振りされています。民間企業にWEを導入して残業代ゼロにするならば、公平を期すために、国家公務員にもこうした「見なし残業」の予算を振り分けるべきではありません。

 そもそも安倍政権は一部の大企業の利益しか考えていません。復興特別法人税は1年前倒しで廃止になりました。そして法人税減税です。現行では国税と地方税を合わせて実効税率がおよそ35%ですが、これを仮に25%まで下げると、5兆円分の減税効果があります。

 もし法人税減税の代わりに、この分を企業の社会保険料等の負担軽減に充てるとしたらどうでしょうか。中小企業にとって社会保険料の負担は重くのしかかるものですが、それを取り除けば幅広い雇用創出効果が生まれるはずです。

--WEと法人税減税は、いずれも財界から歓迎されていますね。

柚木 経団連会長に就任した榊原定征・東レ会長は、WEの適用拡大を望むと言及すると同時に、政治献金の再開をほのめかしています。企業の負担が軽くなれば、多少の献金をしても十分に「もと」はとれるという計算があるわけです。こうしたタイミングで大企業重視の政策を打ち出す安倍政権は、労働者の権利と引き換えに政治献金をもらうと批判されても仕方ないでしょう。
(構成=安積明子/ジャーナリスト)