4月24日に発売された、米アップルの腕時計型スマートデバイス「Apple Watch(アップルウォッチ)」。その人気のため、店頭では品不足の状態が続き、対応アプリのラインナップもこれからという状況だ。そんな中、早くもFX(外国為替証拠金取引)ができるアプリが登場した。どこよりも早く、使用レポートをお届けする。
今回使用するのは、IG証券の「トレーディング・アプリ」。6月中旬の現在、FXを含めて金融商品の取引ができるApple Watch用アプリとしては、唯一のものになる。
楽天証券や外為どっとコムなど、国内の証券会社のアプリが情報の「表示」にとどまる中、「取引」まで可能にしたIG証券は、どんな会社なのだろうか。少し紹介しよう。IG証券は、イギリス・ロンドンに本拠地がある世界的な金融グループである英IGグループの日本法人で、FXトレーダーにはおなじみの会社だ。常に先進的なトレーディングシステムを取り入れることで知られ、これまで金融業界の数々の賞を受賞してきた。その会社が、Apple Watchで金融取引ができる初のアプリをリリースした、というわけだ。
アプリを使用する前に、Apple Watchの初期設定について説明しておきたい。Apple Watchは、iPhoneと「ペアリング」「同期」を行うことで設定する。ペアリングは、画面の指示にしたがってiPhoneのApple Watchアプリを開き、iPhoneのカメラのフレームにApple Watchの画面を収めれば終了する。その後、もう一度iPhoneでApple Watchアプリを起動させ、Apple IDのパスワードを設定、iPhoneのアプリの中でApple Watchで利用可能なものをApple Watchにインストールすれば、同期が完了する。
トレーディング・アプリを使うために、今度はiPhoneにトレーディング・アプリをダウンロードする。ちなみに、ペアリングから同期の前にインストールしておけば、同期の時点でApple Watchにもインストールされる。ダウンロードが終了すると、Apple Watchの画面にトレーディング・アプリが表示されるので、タッチすればいよいよ起動する。
見やすく、使いやすい取引画面
当然ながら、IG証券に口座を持っていないと、同アプリで取引に関わる操作をすることはできない。しかし、デモ取引のサービスが用意されているため、口座がなくてもトレーディング・アプリを利用することは可能だ。
今回使用するにあたって、やはり気になるのは使い勝手だ。なんといっても、ポイントは取引画面だろう。トレーディング・アプリでは、レートの表示画面でそのまま取引を行うことができる。「ユーロ/円」の取引画面を見ながら、手順を説明していこう。
まずは、取引の数量を設定する。数量は、「+」と「-」の部分をタッチすれば調節可能だ。そして、刻々と変わる「売値」(赤)と「買値」(青)のレート表示を見ながら、ユーロを買いたいまたは売りたいレートが表示された時に、それぞれのレートをタッチすれば注文が成立する。
このレート表示は、色表示などが見やすいことに加え、タッチ部分にある程度の大きさがあるため、タッチしやすい。指先でタッチするため、パソコンの画面をマウスでクリックするより、押し間違いなども少なくなるだろう。感度も良好で、瞬時に注文が成立する。総じて、取引画面は「なんとか使える」というものではなく、「十分に使える」レベルに達している、といえるだろう。
取引のタイミングを逃さない
FXはひとつのニュースで相場が大きく変動するので、売買のタイミングを逃せば大きな損失を被る可能性もある。できれば、いつどんな時も取引したい、というのが投資家の本音だろう。しかし、サラリーマンの場合、ずっとパソコンの前に座っていられるわけではない。移動中であれば、スマートフォンで取引をすることもできるが、会議や打ち合せの間にスマホで情報を見たり、ましてや取引するというのは難しいだろう。
このトレーディング・アプリがあれば、これまで不可能だったシチュエーションでも、取引が容易に可能になるはずだ。ちなみに、取引画面以外では、保有しているポジションの状況や、経済イベント関連の情報のチェックなどが可能である。
世界の有名企業の株も取引可能
さらに、大きな特長として、CFD(差金決済取引)ができる点も挙げておきたい。IG証券のCFDは世界的にみても豊富で、国内外の株価指数や個別銘柄、金・原油などのコモディティなども対象としている。つまり、IG証券のトレーディング・アプリを使えば、普通の証券会社では難しい世界の有名企業の株も簡単に購入できるわけだ。非常に幅広い金融取引をカバーしたアプリなのである。以下、今回使用したトレーディング・アプリの機能をまとめておこう。
【トレーディング・アプリの主な機能】
・FX及びCFDの取引
・Apple Watch上でのiPhoneアプリの通知の受信
・経済イベント情報のチェック
・ウォッチリスト(=注目銘柄)に登録している各種の銘柄と、決済されていないオーダーのチェック
・ポジションの保有・変更・清算と、保有ポジションのチェック
・ワンタップ・ログイン機能
次世代のデジタルデバイスとして期待されている、ウェアラブル(=身につけられる)コンピュータ。腕時計のように装着して使うスマートウォッチは、ウェアラブル・コンピュータの本命と目されているが、これまで発売されたものは、いずれも本格的な普及には至っていない。
しかし、Apple Watchが登場したことで、ようやくブレイクの兆しが出てきたといえる。今回のトレーディング・アプリのように、ユーザーにとってメリットが感じられるアプリが増えてくれば、今後の普及にも弾みがつくだろう。
(文=松岡賢治/ファイナンシャルプランナー)
■IG証券
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■IG証券のトレーディング・アプリ
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