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日向咲嗣『「無知税」回避術 可処分所得が倍増するお金の常識と盲点』第18回

働きながら失業手当を満額受け取る?さらに就職活動まで行う術!

文=日向咲嗣/フリーライター
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働きながら失業手当を満額受け取る?さらに就職活動まで行う術!の画像1『第7版 失業保険150%トコトン活用術』(日向咲嗣/同文舘出版)より抜粋

 7月9日付当サイト記事『失業手当をもらえない!空前の黒字の雇用保険積立金、給付率カット&非正規労働者排除』で、雇用保険の積立金(失業給付関係)が、史上空前の水準である5兆9000億円にも膨れ上がっている背景についてレポートした。

 東京オリンピックのための新国立競技場の建設費が2500億円にも上ることが激しい批判を浴びて計画が白紙撤回されたが、雇用保険財政には、その新国立競技場を23カ所建設しても、まだ1000億円以上のおつりがくるほどの巨額資金がプールされている。

 それにもかかわらず、雇用保険制度本来の目的であるセーフティネット機能強化の動きはまったく見られない。昨年4月の法改正では、再就職手当や育児休業給付の増額等、「失業して困っていない人」に対する給付ばかり上積みする、おかしな施策が取られただけである。

 保険料を下げればよいと思われるかもしれないが、労働者負担は給与の0.5%とかなり低く抑えられている。全国健康保険協会管掌の健康保険が約5%であることと比べると、雇用保険の保険料がいかに安いかがわかる。

雇用保険を有効活用する方法

 そこで今回は、毎月の給与から納めている雇用保険料を、必要になったときに最大限有効活用するための方法を検討したい。

 意外に思われるかもしれないが、数ある雇用保険の給付金の中でも、最もオトクなのは、再就職手当である。

 所定給付日数の3分の1以上を残して再就職した人には、支給残日数の50%(3分の2以上残して再就職なら60%)を、「お祝い金」のようなかたちで一括支給してくれる制度だ。これにより、「退職後すぐに再就職しても決して損はしません」「失業手当を当てにせず、退職当初から一生懸命に就職活動しましょう」とのアナウンス効果を狙っているわけだ。

 実は、この再就職手当は、「保険」と名のつく制度の中でも、他に類を見ないほど特異な存在なのである。何が特異かというと、「幸せな人にお金が入る」点である。

 そもそも雇用保険制度とは、失業して勤労収入がなくなる事態を「保険事故」ととらえて、その不幸をカバーするために保険金を支払うもの。一家の大黒柱が亡くなるという最悪の出来事が起きたときに、残された家族に生命保険金が支払われるのと同様だ。

 ところが、雇用保険の再就職手当は、「再就職できた」というハッピーな出来事に対して保険金が支払われるわけで、通常の保険とは根本的に性質が異なるのだ。

 もらうほうとしても、めでたく就職が決まって「もう生活費の心配はなくなった」状態で何十万円もの保険金が一括でもらえるのだから、失業手当をより長くもらえたとしても、それが日々の生活費でどんどん消えていく「焼け石に水」状態とは気分的にも、天と地ほど異なることがわかるだろう。

再就職手当ての賢い利用法

 しかし、現実には再就職手当の恩恵にあずかれる人は少ないのが実情である。雇用情勢は一頃と比べて改善されてはいるものの、激増しているのは非正規の求人ばかりで、中高年やキャリアの足りない若者が正規の仕事に就くのは、いまだ容易ではない。

 それならば非正規でもなんでもいいから、とにかく再就職して再就職手当をもらいながら転職活動を根気よく続けるのが一番賢明である。

 再就職手当の支給要件には、「1年超雇用見込み」があるため、「1年以下の契約で働く非正規雇用では支給対象にならないのではないか」と思われるかもしれないが、実際にはそんなことはない。契約書上1年以下とされる契約であっても、転職先の企業が公共職業安定所(ハローワーク)に提出する書類で「1年超雇用見込みあり」と証明さえしてくれればよく、そのハードルは思ったほど高くない。

 昨年4月からは、転職後に給与がダウンした場合、再就職手当とは別に基本手当の支給残日数の40%を上限として、低下した賃金の6カ月分が支給される「就業促進定着手当」が創設された。これも併用した場合、失業手当を1日ももらわないで再就職しても、再就職手当60%、就業促進定着手当40%を足すと、「働きながら失業手当を満額もらえる」という究極の裏ワザが可能になるのだ。ただし、再就職手当には上限額が設定されており、60%受け取れないことも多い。

 よって、失業した場合には条件を大きく下げてでも、まずは再就職し、手当をもらいながら希望する条件に合ったところをじっくりと探すのがベターだろう。

 日々フルタイムで働いていても、土曜や夜間にも開庁しているハローワークを利用すれば、転職活動に大きな支障はない。自宅のパソコンからも24時間ハローワークの求人にアクセスできる。面接に出かけるのは、せいぜい月に数回程度だから、働きながらでも時間のやりくりをつけることは決して不可能ではないだろう。失業して毎日自宅で一日中履歴書を書くよりも、はるかに精神的な負担も少なくなるのはいうまでもない。

 前記記事でも述べたように、アベノミクスの本質は「強きを助け、弱きをくじく」であるのだから、「強者のフリをする」ことが有効な手段になり得るのである。
(文=日向咲嗣/フリーライター)

日向咲嗣/ジャーナリスト

日向咲嗣/ジャーナリスト

1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社・編集プロダクションを経てフリーに。「転職」「独立」「失業」問題など職業生活全般をテーマに著作多数。2015年から図書館の民間委託問題についてのレポートを始め、その詳細な取材ブロセスはブログ『ほぼ月刊ツタヤ図書館』でも随時発表している。2018年「貧困ジャーナリズム賞」受賞。

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