2月16日、衆院予算委員会でのやり取りで、大きな波紋が広がった。
岩城光英法相は維新の党の落合貴之氏の質問に答え、行政機関が安全保障上著しい支障が生じると判断すれば特定秘密の文書提供を拒否できる特定秘密保護法の条項は、国の収入支出をすべて検査する会計検査院にも適用されるとの認識を示したのだ。これは、行政機関に対するチェック機能であるはずの会計検査院の検査すら、行政機関は特定秘密を盾に拒否できるとする内容だ。
岩城氏は答弁において、「実際に適用されることは実務上、考えられない」と強調し、「秘匿が必要なものを的確に保護するための法律上の立て付けだ。会計検査院を適用除外とすることは考えていない」と説明した。これに対し、落合氏は「実際には適用しないとの法的根拠はあるのか」と質したが、岩城氏は「法律の条文をそのまま読めば具体的な適用はない」と述べるにとどめた。
この規定が会計検査院にも適用されるかどうかについては、同10日の衆院予算委員会でも岩城氏は民主党の階猛氏から質問されており、「会計検査院に適用される」と答弁。しかし、階氏から「今の答弁でいいのか」と念を押されると、今度は岩城氏は「適用されない」と言い直して答弁していた。
会計検査院は秘密保護法成立前の2013年9月、この規定を根拠に秘密指定書類が会計検査で提出されない恐れを指摘し、「すべてを検査するとしている憲法の規定上、問題」として、条文の修正を求めていた。当時の内閣官房は条文を修正しない代わりに、従来通り会計検査には応じるよう各省庁に通知することを約束し、秘密保護法は成立していた。
しかし、その通知は同法成立後2年以上もたつ昨年12月にいたっても通知がされていなかった。そのことが同月8日に報道で取り上げられ問題となった後、同月25日付けでようやく通知が出されていた。さらに会計検査院の会計検査がこの規定を免れるかどうかは明文化されていなかった。それが今回の質疑において、「適用対象となる」とする内閣の見解が確認されたのだ。
戦前に逆戻り
そもそもの秘密保護法の趣旨は、安全保障上極めて重要な内容についてのみ秘密を保護する事を認めるものであり、決して各省庁が都合の悪い事実を隠蔽するために使われてはならない。落合氏は次のように語る。