「今回の質疑を通じて明らかとなったのは、特定秘密保護法は会計検査院に適用され、特定秘密に指定された文書は、会計検査のために提供されなくなる可能性が高いということです。岩城大臣は『およそ考えられない』を繰り返し強調したが、法的根拠がない。『会計検査院には適用しない』と規定されていない上で、岩城大臣は国会答弁で適用を認めた。会計検査院の独立性という観点から、大いに問題です。
戦前も、軍事上の機密漏洩を処罰する軍機保護法という法律があり、これにより当時の会計検査院が制約を受け、軍事関係予算が野放しになる一因にもなりました。この反省も踏まえて、今の憲法90条があるのです。今回の答弁は、時計を逆戻りさせ戦前に戻ると言っているのと同じです。
加えて、特定秘密保護法で特定秘密に指定される文書は、厳密に安全保障や外交に限られません。つまり、特定秘密の範囲が際限なく拡大される危険性さえあるということであり、私がこの法律について最も懸念しているのは、この点です。限られた与党議員や閣僚、官僚以外は、そうした文書にアクセスすることができないのですから、税金の使われ方すらチェックできなくなる。会計検査院がそうした文書まですべてチェックできれば、そうした無駄遣いへの抑止力ともなるし、政府の暴走の防波堤にもなります。
その会計検査院にも特定秘密を適用するというのは、そうした防波堤が邪魔だということなのでしょう。民主主義そのものが機能するように、私は野党議員として、こういった法の問題点は、しっかり質していかなくてはならないと考えています」
また、組織づくりなどに詳しいコンサルティング会社、株式会社ブランド・コア代表取締役の福留憲治氏は、次のように懸念を示す。
「法人でも省庁でもそうですが、どのような組織でも、その組織への第三者の監視や批判の声が弱まれば、組織は必ず急速に腐敗します。これは組織設計において非常に基本的な事ですが、組織は常に第三者から監視・批判されることで規律を改め、腐敗を防ぐことができるので、そのようになるための仕組みをつくることが重要となるのです。今回、特定秘密の範囲が際限なく広がる可能性を残したことで、政府において、その仕組みが壊れてしまう危険性をも考えなければいけないのではないでしょうか」
政府が本当に国民のための政策を実行しているといえるのか、より高い関心を持って注視をしていく必要がある。
(文=編集部)