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甘利明元大臣、テレ東取材を中断し提訴「日本は終わりだ。もう私の知ったことではない」

文=上田眞実/ジャーナリスト
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「大臣なんて細かいことなんてわかるはずない」

 この裁判で明かされた甘利氏の暴言の数々を見てみよう。いずれも、A記者に「取材は認めない、テープを消せ」と問答になった時の台詞だ。

「これは私を陥れるための取材だ。放送は認めない」
「とにかく暗がりでよくわからない上にうろ覚えで言った言葉をカメラでしっかり撮っていたじゃないか。それを消せと言っている」
「(テープを)消さないと放送するにきまっている。流されたら大変なことになる。あなたも一回そういう目に遭ったほうが良い。誹謗中傷されたらどんなに辛いか」
「自分には家族がある」
「こんなもんが放送されたら自分の政治生命は終わりだ」
原発事故の責任を押し付けられたら、たまったもんじゃない!」
「私には肖像権がある。取材を受けた人間が流すなと言っている。放送は認められない」
「何度も言うが、原子力安全委員会が安全基準を決める。彼らが決めた基準を経済産業省は事業者に伝えるだけ。安全委員会は地震や津波のプロが集まってる組織。そこが決めてるんだ」
「大臣なんて細かいことなんてわかるはずないし、そんな権限がないことくらい君もわかってるだろう。答弁書だって閣議前の2分間かそこらで説明を受けるだけだ」
「原発は全部止まる。企業はどんどん海外へ出て行く。もう日本は終わりだ。落ちる所まで落ちれば良い。マスコミだって同じだ。お宅も潰れないとわからないもんだ。もう私の知ったことではない」

 これは、甘利氏が記者に向かって吐いた暴言のほんの一部だ。裁判が進むに連れて甘利氏の無責任体質が暴かれていき、傍聴者はため息をつくばかりだった。

原発事故の報道検証

 なぜ福島原発事故が起きたのか、報道による検証作業が必要だ。二度と同じ悲劇を繰り返さないための教訓を得るには、事故をさまざまな角度から正確に記録することが求められる。甘利氏は原発の安全を担う経産大臣を二期務めた。その立場から記者に言えることもあるだろう。その証言は、今後の改善策にとって貴重な資料となるはずだ。

 しかし、甘利氏はその政治的責任を受け止めることなく、反省点と改善点を聞き出そうとしたテレビ東京と報道関係者を提訴した。このような自己保身に奔走する議員の言動が、原発のある地域の生命・暮らしを左右していたのは、なんとも不幸な事態といえよう。

 スラップ訴訟は、企業や政府など強者が恫喝や発言封じなどを目的に弱者に起こす。

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