わたしたちのからだの中では、いろいろなことが起きている。最近話題になっているのが、慢性の感染症だ。感染症といえば、誰もが知っているのはインフルエンザ。インフルエンザはウイルスの感染によって起こる。ウイルスの感染で起こるものは、ジカ熱もそうだ。ジカ熱は蚊が媒介するが、ウイルスが原因である。
ウイルスだけでなく、細菌によっても感染は起こる。細菌によって起こる感染症といえば、食中毒がよく知られている。感染症にかかると、白血球などの免疫機構が働いて細菌を排除する。自身の免疫で間に合わないときは、抗生物質を取り入れれば細菌を殺すことができる。ウイルスに対しては抗生物質のような特効薬はなく、増殖するのを防ぐ程度のものしかなく、予防のためにワクチンを前もって打っておくことが対策となる。
ところで、細菌やウイルスがからだの中に侵入すると、これらを殺したりするために免疫が働き、闘う。これが炎症である。炎症とは、細菌やウイルスが闘っている状態で、発赤、熱感、腫脹、疼痛という4徴候が起こる。場合によって、これに出血が伴うこともある。急性の炎症では、これらが激しく起こる。そして、細菌やウイルスに勝利すれば、炎症もすぐにおさまっていく。
この炎症に、急性のものだけでなく、慢性のものがある。ピロリ菌によって起こる炎症は、多少の痛みはあるが常にそれもあるわけでなく、慢性の炎症といえるだろう。肝炎ウイルスによる症状も慢性炎症であるという医師もいる。
慢性の炎症はからだの中に入り込んだ細菌などによって起こるが、急性の炎症と異なり、痛みも感じないものが多いという。
慢性の炎症が原因で発症するといわれているものが、アルツハイマー病、がん、リウマチ、糖尿病などである。過剰な内臓脂肪も炎症を起こすといわれている。肥満でも炎症が起こるのだ。
口内には100億個の細菌
おもに細菌やウイルスが侵入する部位は、呼吸器や消化器、とくに問題となるのは口だ。細菌の量を調べると、口の中には約700菌種、100億個の細菌がいる。もちろんすべてが悪い菌ではない。虫歯があればその傷口から、歯周病があれば歯と歯茎の隙間から細菌が侵入する。血管に入った細菌は免疫機構によって排除されるが、一部は生き残り、炎症を起こす。