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TBC、違法だらけの非人道的労働環境!長時間残業代未払い&自社商品の購入強制が常態化

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「Thinkstock」より

 エステ業界と聞くと、華やかなイメージを持つ人も多いかもしれないが、働いている側の実態はなかなかつらいものだ。エステ業界大手TBCグループが展開する「エステティックTBC」の福岡県の店舗に3月4日、労働基準監督署から是正勧告が出された。その中で明らかにされた、会社が行っている行為の内容がひどい。法律違反のオンパレードなのである。具体的には、次のような行為だ。

・従業員にタイムカードを押させるが、残業代の支払いは自己申告制の手書き帳簿に基づいて行われている。

・始業時間の2時間ほど前の出社が日常的となっており、その分は勤務時間として認められない。

・休憩時間は形だけは存在するが、さまざまな業務に追われてほとんど休めない。

 さらに、是正勧告には含まれていないが、ノルマのために社員が自社の商品を購入する、いわゆる「自爆」をさせられていたという。

 労働問題に詳しい佐藤宏和弁護士は、法律的な問題について次のように解説する。

「タイムカードではなく自己申告の手書き帳簿での残業代支払いや、始業時間の2時間前からのサービス残業は、賃金の全額支払い原則(労基法24条1項)、割増賃金の支払い義務(労基法37条)に違反します。また、休憩時間を与えないという点についてですが、使用者は、労働者に休憩を必ず付与するよう義務づけられており(労基法34条1項)、これにも違反するでしょう。目標未達時の自社商品の自腹購入については、違約金及び賠償予定禁止義務(労基法16条)違反が疑われますし、仮に給与から天引きされていた場合は、賃金の全額支払い原則(労基法24条1項)が問題になります」

違法行為が蔓延する構造的問題

 こうした違法行為が蔓延する原因はどのような点にあるのだろうか。企業会計や経営にも詳しい佐藤弁護士は、業種のビジネスモデルが根本的な原因になっていると指摘する。

「エステ業界は、売り上げ全体に占める技術売上高(人的サービスの売り上げ)の比率が高く、また技術売上原価のうち労務費の比率が高くなっています。かつてエステ業界で唯一上場し、後に経営破たんで上場廃止となった企業がまだ成長していた頃の有価証券報告書を見ると、ある年度の総売上の約7割が技術売上高で、技術売上原価の5割超が労務費、売上高に対する労務費の比率が2割5分でした。労務費の次に多いのが広告費で、売上高の約2割。そのほかに特に大きな費用項目はありません。つまり労務費を1割カットすれば、売上高に対する2.5%の利益が増加し、2割カットすれば5%の利益が増加することになります。一方で、広告費は売り上げに直結するからなかなか減らせません」

 逆に言うと、労務費が増加すれば会社の利益を大きく低下させることになる。広告費は売り上げに直結するからなかなか減らせない。そこで必然的に労務費をカットして利益を捻出する体質になるのだ。

 同じくエステ大手で、14年に労基署から是正勧告・行政指導を受けた「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する不二ビューティ会長のたかの友梨氏は、社員に対して「労働基準法にぴったりそろったら、絶対成り立たない。潰れるよ、うち」と発言していたことが明らかにされて大問題になった。だが、これは決して特殊な考え方ではなく、多くのエステ経営者からすると偽らざる本音なのかもしれない。

 エステと似た構造を持つ業種は、ほかにどのようなものが考えられるだろうか。

「サービスに直結する労務費だけでなく、本社の人件費や役員報酬も含んだ労働分配率を見ると、経営に対する人件費のインパクトが大きい業種がわかります。前述の上場エステ会社では、労働分配率が70%を超えていました。エステ業界を含む美容業は一般的に労働分配率が高いですが、ほかにも情報処理・ソフトウェア業、警備・ビルメンテナンス業、介護事業、調剤薬局・歯科診療所などの業界が似たような構造を持っています」(同)

 こうした業界は、違法な労働環境が常態化している可能性があるといえるだろう。直接的に利害がある労働者側はもちろんのこと、将来的に大きなリーガルリスクが顕在化する可能性がある経営者側も、一度自分の会社が置かれている状況を再確認したほうがよさそうだ。
(文=Legal Edition)

【取材協力】
弁護士 佐藤宏和
事業再生、M&A分野に強いセンチュリー法律事務所の所属弁護士。弁護士登録以前に、ソフトバンク、SBIホールディングス等で子会社の上場や、代表者として子会社を経営した経験を持つ。

・労働法無料法律相談サイト「解雇・残業代トラブル法律相談サイト」運営責任者。
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