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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

過度の抗菌や潔癖は体に危険?かえって汚いほうが病気予防&健康?

文=新見正則/医学博士、医師
過度の抗菌や潔癖は体に危険?かえって汚いほうが病気予防&健康?の画像1「Thinkstock」より

 今回は「抗菌」に関する話題で激論が展開されています。

“極論君”は「抗菌」の虜です。抗菌グッズを揃え、アルコールでの手洗いは欠かさず、当然帰宅すれば茶色の抗菌作用がある液体で入念にうがいを繰り返します。入浴時はナイロンタオルと液体石けんで体中をまんべんなく洗います。垢すりも大好きです。シャンプーも連日欠かしません。子供は抗菌の砂場で遊ばせ、抗菌ランドセル、抗菌机、抗菌鉛筆、抗菌消しゴムを揃えます。

 インターネット通販で抗菌とあるものはどんどん購入します。抗菌パジャマに、抗菌布団、抗菌タオルなどを使用します。屋台の食べ物は雑菌がいそうで食べません。人が握ったおにぎりも心配で食べません。ここまで徹底すると凄いですね

 一方で“非常識君”は、「むしろ汚いほうが元気なのだ」という持論です。手洗いもうがいもしません。お風呂で体は洗いません。湯船につかれば、それで十分きれいというのが持論です。床に落ちたものも食べます。子供を外で遊ばせるときは、野生のサルのように放し飼いです。子供たちは、野いちごやアケビなどをそのままほうばります。ころんで泥んこになって、泥が口に入ることも少なくありません。そして家畜やペットと一緒に過ごしています。遊びの途中で家畜の乾いた糞が誤って口に入ることもあります。

 抗菌大賛成で潔癖志向の極論君と、まるで正反対の非常識君です。どちらに軍配が上がるというよりも、そこまで徹底するとすごいですね。

“常識君”が非常識君に援軍を出します。「デンマークなどの研究では、家畜と一緒に住んでいる子供や、家畜がいる家庭に出向いて遊んでいる子供はアトピーなどのアレルギー疾患の頻度が少ないという報告は有名ですよ」と発言します。

 確かに、いくら完璧に抗菌を徹底しても、腸の中のばい菌をゼロにはできないですね。当然限界があるわけですから、どこかで妥協する必要があります。口の中のばい菌も、皮膚についている常在菌もゼロにはできません。そして、抗菌という言葉の意味も実は不明ですね。菌がまったく存在しない「無菌」なのか、菌を減らす「減菌」なのか、または菌が増殖しない「静菌」なのか。

免疫を培うことが大切

 常識君は白熱した議論に問題提起をします。

「どの菌を駆除したいのかが不明だから問題だ。体には悪玉菌も善玉菌もいるでしょう。命にかかわるような病気の原因となる菌を除去すれば、それで十分ではないか」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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