ビジネスジャーナル > ライフニュース > 過度の抗菌や潔癖は体に危険?  > 2ページ目
NEW
新見正則「医療の極論、常識、非常識」

過度の抗菌や潔癖は体に危険?かえって汚いほうが病気予防&健康?

文=新見正則/医学博士、医師

 確かにそうですね。無菌論者の極論君の対応では、体に必要な、体にとってためになる善玉菌も駆除されます。ナイロンタオルと液体石けんでごしごし体を洗うと、菌も洗い流されますが、垢も取れます。垢は皮膚のバリアの一部ですから、必要以上にこすり取ると弱い皮膚になります。かえってアトピーが悪化することもあります。

 そして体には免疫があります。子供の頃から少々体に悪い菌に暴露されていると、それに対する免疫が出来上がります。つまり、だんだんと強い体になるのです。問題は、免疫ができていないのに命にかかわるようなばい菌に遭遇すると、それこそ「命取り」になります。いろいろな環境下で、だんだんと強くなるのが体です。そして人が集まる組織も、集団も、実は些細な困難に適度にさらされているほうが、ひるまない、壊れない、そして倒れそうになっても復活できる力を保てます。

 つまり、極論君と非常識君の間で、そして少なくとも命にかかわるような悪玉菌は除去する一方で、弱毒の悪玉菌を数少なく持つことによって、体の力強さ、つまり免疫を培うことが大切にも思えます。さらに折れない心の強さ、折れても復活できる対応力の強化も実は必要です。極論君と非常識君の間に答えがあることは間違いないでしょうが、どの程度を実行すればいいのかはまだ未知の領域です。

 常識君は、「少々汚いぐらいの世界を生き抜くことが良いように思える」と、今回はホンネを漏らしていました。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

過度の抗菌や潔癖は体に危険?かえって汚いほうが病気予防&健康?のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!