消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
確かにそうですね。無菌論者の極論君の対応では、体に必要な、体にとってためになる善玉菌も駆除されます。ナイロンタオルと液体石けんでごしごし体を洗うと、菌も洗い流されますが、垢も取れます。垢は皮膚のバリアの一部ですから、必要以上にこすり取ると弱い皮膚になります。かえってアトピーが悪化することもあります。
そして体には免疫があります。子供の頃から少々体に悪い菌に暴露されていると、それに対する免疫が出来上がります。つまり、だんだんと強い体になるのです。問題は、免疫ができていないのに命にかかわるようなばい菌に遭遇すると、それこそ「命取り」になります。いろいろな環境下で、だんだんと強くなるのが体です。そして人が集まる組織も、集団も、実は些細な困難に適度にさらされているほうが、ひるまない、壊れない、そして倒れそうになっても復活できる力を保てます。
つまり、極論君と非常識君の間で、そして少なくとも命にかかわるような悪玉菌は除去する一方で、弱毒の悪玉菌を数少なく持つことによって、体の力強さ、つまり免疫を培うことが大切にも思えます。さらに折れない心の強さ、折れても復活できる対応力の強化も実は必要です。極論君と非常識君の間に答えがあることは間違いないでしょうが、どの程度を実行すればいいのかはまだ未知の領域です。
常識君は、「少々汚いぐらいの世界を生き抜くことが良いように思える」と、今回はホンネを漏らしていました。
(文=新見正則/医学博士、医師)
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.06.26 17:00
2024.06.19 16:35
2024.03.17 17:30
2024.02.27 09:34