熊本・阿蘇北部の黒川温泉、大分県由布院の湯布院温泉などの超有名観光地に閑古鳥が鳴いている。ゴールデンウイーク期間中に宿泊をキャンセルされた数は、大分で15万1000人、調査不能な南阿蘇を除き熊本では18万人強、鹿児島で7万6000人、長崎7万3000人、宮崎4万7000人、福岡3万人、佐賀1万1000人などとなっている。
長崎国際観光コンベンション協会によると長崎市内の宿泊施設22軒で、4月24日までに105校(1万5000人)の修学旅行のキャンセルが出た。「砂むし温泉」で知られる鹿児島県指宿市では、市観光協会の調査によると1万7000人の宿泊予約が取り消され、宮崎市内の旅館・ホテルでも3万5000人超の予約が消えた。
佐賀県は、海外からの団体客のキャンセルに対応するため県観光連盟は4月25日から職員8人を韓国や中国、タイなどに派遣し、「佐賀は地震被害がほとんどありません」と懸命にアピールしている。有田陶器市の人出にも地震が影を落とした。有田の陶器は今年で創業400年と記念すべき節目だったことから例年以上の人出が期待されたが、4月29日から5月5日までの人出は120万人にとどまり、昨年に比べて1万人少なかった。
九州に修学旅行を予定した学校は行き先を沖縄などに変えている。
熊本城の修復には最低10年&400億円要する
熊本城の修復には最低10年はかかる。費用は最低400億円といわれており、600億円という試算もある。長い期間と巨額の費用が必要となる。
宮崎県の宮崎太陽銀行の川崎新一頭取は「大型連休に予定されていたバスツアーの中止や宿泊施設のキャンセルが相次いでいる。県内のゴルフ場も5月までに500人以上のキャンセルが出たところがある。地元企業もコンペなどを自粛している。(2010年に発生した)口蹄疫の時も宮崎県で自粛が長引いて影響が出たので、(今回の地震についても)懸念している」と語っている。同行は福岡証券取引所に単独上場している第二地方銀行で、福岡市に本店がある西日本シティ銀行が筆頭株主である。
先月14日以降、熊本県と大分県で震度1以上の地震が発生した回数は1300回を超えた。「観光客からの問い合わせに『安全です』と答えられないのがもどかしい」と県内のホテル関係者は厳しい表情をみせる。大分県別府市の杉乃井ホテルでは連日、予約客の2割程度のキャンセルが出ていると伝えられた。阿蘇市の内牧温泉では断水や湯量の減少が起こり、一般客の宿泊を断らざるを得ない状態だ。